捧げ物

□生き抜くと誓った、あいつとの約束
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呆れ果てた顔のネジ、ナルト、チョウジに顔を引きつり、恐る恐るキバを見る。思った通りそのキバの表情は、耳まで真っ赤にして今にも泣きそうな、そんな表情。
でもまぁ、こいつら全員俺らの関係知ってるんだけどな。


「う…、うわぁぁあ!!」
「ちょ…馬鹿ッ、待てってキバ!」


顔全体を赤くしたキバは三人に見られていたことがすごい恥ずかしかったのか、一人真逆の方角へと駆け出していく。止める俺の声も届いてねぇみたいだ。
溜め息を吐き、軽く舌打ちをする。
まぁ、悪いのは俺なんだけどな。
だが一応もう一度言うが、この任務はサスケ奪還が掛かっている。時間を取るわけにはいかねぇ。


「悪い、俺はキバを連れ戻してくっから、お前ら先行ってろ」
「おいシカマル!お前は隊長だろう!」
「キバを行かせちまったのは一応俺の責任だからな。すぐ追い付くからよ」
「シカマル!」


ネジの言葉を背中に受けつつ、先程キバが去っていった方角へ急ぐ。


「キバー、居るなら返事しろ」


森の中は探し難くていけねえ。
数え切れない木々がある中、多少時間は掛かったが、運よく座り込んでいたキバを見つけた。


「…キバ、さっきは悪かったな」
「別に…怒ってねぇし」
「じゃあ何だよ、その不貞腐れた顔は」
「誰のせいだよ…っ!」
「ほら、怒ってんだろ?」
「うっせぇよ、馬鹿マル」


キバに近づき話し掛ければ、怒っていないと言いながらも眉を寄せてそっぽを向く。分かりやすいこいつの行動。


(こりゃあ、拗ねてんな…)


浅い溜め息を吐き隣にしゃがみこめば、キバの被っているフードを取ってやる。
そのまま会話がなく沈黙が続く中、その沈黙を破りたかったとかそんなんじゃねぇけど、俺は空を見上げて口を開いた。


「なぁキバ、もしこの任務で俺が死んだらどうする?」
「は…?…何馬鹿なこと言ってんだよ」


何でこんなこと口にしたのか俺自身も分からないし、別に深い意味は何も無いが、無意識に口が動いてしまった。
それに対してのキバの声は震えていて、空を見上げたままで表情は見れなかったが、きっとこいつは今すげぇ悲しそうな顔してるんだろうな、と予想できた。






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