Voice story

□君を酔わせるシャルム
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「ちゅっ」
「ん..よっちんさ...」


彼の熱を帯びた唇が重なる。


「はっ...んっ」
「痛っ」


甘美なキスにくらくらと酔いしれそうになったその時。
チクリ 、上唇に彼の髭が当たった。


「..あ、痛い?ごめん剃ってくるわ」
「う、ん」
「ちょっと待ってな」


パタン、とリビングのドアが閉まる。
その瞬間わたしは一気に力が抜けた。

さぁどうしようか。
よっちんさんが洗面所へ向かった事により1人の静寂の中で先程の光景がフラッシュバックする。
駄目だ・・・。このまま彼を待っていたら恥ずかしい事ばかり考えてしまう。


(そうだ!今の内に食器洗っちゃおうかな。)


そう思った私はふらふらと台所へ向かった。





「・・・♪〜ラララーララーララーラーラーララーラーララ〜♪」


鼻歌を歌いながら食器を洗っていると何だか気持ちの高ぶりが収まってきた。
どうやら私の選択は正解だったようだ。


「...ドリームフラッグ?」
「あ、おかえり。そうだよ〜」


完全に正気を取り戻した私は普通に彼に返答が出来るようになっていた。
正直、今の私の状況からよっちんさんが先程の続きをしようとは思わないだろうと考えたのだが。
・・・この考えは甘かったのである。


「鼻歌なんか歌っちゃって余裕じゃん・・・?」
「へ、そうじゃな...んっ!」


再び重なるそれに驚く。


「そのままなんで待ってくれなかったの?」
「・・・」


私は火照った顔を隠すように俯いた。


「言わないともっとするよ?」
「っ。...恥ず、かしかったから」


言い終わった途端に激しいキス。


「なんで、言った、のに、んっ」
「わり、お前がかわいすぎるから」


そう言うニヒルな表情の彼は悪びれた様子は無く。


「もう、ひどいよ..」
「でも風香は嫌じゃないんでしょ」
「ズルイ..」
「大人ですから。」


まるで拗ねた子供を慰めるように私の頭を撫でる。


「ね、剃ったし傷つけないからさもっとしよ」
「..うん」


彼は髭があるのと無いのとでは全く雰囲気が違う。
彼は肌が弱い為に生やしていることが多いから私もある事には特に気にしていないのだが。
無いと凄く若く見えてドキドキしてしまう。


「ちゅっ..ふ、何か緊張してんの?」
「...そうかも」


よっちんさんは小さく笑ったかと思うと私をお姫様抱っこした。


「?!」
「・・ベッドいくぞ」


寝室へ移動して私をベッドへ優しく下ろす。


「無い方が好きなんだ?」
「分かってて剃っちゃったんでしょっ」
「あー、バレた?」


彼の口角が上がる。
完全にペースを掴まれて、再びキスの甘さに落ちていった。












君を酔わせるシャルム

(いつもは髭ばっかりだね)
(剃るのは特別な時だけだよ)





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