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お店を出てからしばらく早歩きをしてきた私とれいちゃんは学園の校門に着いた。

「さーて学園に帰ってきたけど、寮に行こっか!早く同室の人に挨拶しなきゃね!」
「そうですよね‥」

そうだ。
私達の寮は男女問わず2人で一つの部屋を使うため同室の方が居るんです。

階段を上り、部屋がずらりと並ぶ長い長い廊下を歩いていく。
同室の人か……。
どんな人なんだろう‥。緊張、するな‥。

「えーっと春歌ちゃんの部屋は2階の1○5号室だから‥あっ!ここだね!」

嶺ちゃんが目の前を指差した。

「大丈夫だよ!ぼくも一緒に行ってあげるから!」
「え!良いんですか!?...ありがとうございます」

いいのいいの♪と手を振りながら、ドアを開ける嶺ちゃんに続いて行く。

「しっ失礼します‥っ!!!」

ぺこりと頭を下げ、恐る恐る目を開けると…、

「あ、あれ??誰も居ない‥」

そこには人の気配は無く、荷物も予め運んであった私のダンボールが置いてあるだけだった。

「んーおかしいなぁ。もうみんな寮にいるはずなのに」

嶺ちゃんは周り見渡した後、顎に手を置きながら考え込む。

「仕方ないですよね…。また来られた時に挨拶しようと思います!」
「うんうん!そうだね!
じゃあ、ぼくも部屋いくからまた明日会おうね!」

と、部屋から出ようとする嶺ちゃんを私はつい引き止めてしまった。

「わっ私も行って良いですかっ??嶺ちゃんはついてきてくれたから..。私も行きます!!」

今日1日、ずっと助けてもらいっぱなしな私は申し訳なさでいっぱいで。
なにもお礼ができていない。
こんな事がお礼になるなんて思ってはいないけど、ここで別れるのはあまりにも寂しさを感じるものだ。

「うん、じゃあ春歌ちゃんも行こうか!」
「はい!」

嶺ちゃんと部屋を出る。


(あっ!そういえば同室の予定の方のお名前はなんていうんだろう。)

疑問に思った私は長い渡り廊下から振り向き、ドアに貼ってあるネームプレートを確認した。




“room number1○5
room mate

七海 春歌

.
.
.

美風 藍”




¨美風藍¨


(うーん女の方、なのかな..?)

と、ドアの前で考え込んでいると
遠くから嶺ちゃんが呼んだので気になりつつも急いで嶺ちゃんについて行った。


美風藍さん、
いつかこの部屋で同室になろう人だ。
仲良くできると良いいなぁ。




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「えっと嶺ちゃんの部屋は1階の56号室だから..あっ!ここです!!」

私は目の前の部屋を指さしてすこし進みかけた嶺ちゃんを呼ぶ。


「あっほんとだ!じゃあ〜早速おっじゃましまぁーすっ☆」


そう言った途端いきなりスキップしながら部屋へ入っていった。
なんという速さだ..。

「えぇ!ちょっと!!」

私も急いで嶺ちゃんに続いて入っていく。
や、否や....


「って、あーーーーーッ!!!!!!!」
「ッ!?」
「??」

先に入っていた同室の方をみた瞬間、嶺ちゃんがその方を指さして叫んだ。
失礼でもあろうその行動にその方も嶺ちゃんを見てビックリして運びかけのダンボールを落としていた。

「君!いっつもうちの弁当を大量購入していく人だよね!!!?」
「...。寿嶺二ってやっぱりあの弁当屋の長男だったのかよ....」

「???」

何が何だか訳がわからない。
呆然と立つ私の前でさらに嶺ちゃんがその人の手を握り、

「この人はね、うちの弁当屋の常連さんなんだよ!」
「そうなんですか!!」
「うん!えーっと名前は....「黒崎蘭丸だ」」
「へぇー!黒崎蘭丸くんかぁ〜。....じゃあランラン!だね☆」
「あ"!!?」

れ、れいちゃん....。
急に部屋に入っていき人の事を指差した挙句にはあだ名呼ばわりだなんて。ある意味勇気ある行動にただただ驚くばかりだ。

「ランランよろしくね!」
「ざけんな!!‼︎」


(.....黒崎さん、すごく怒ってます....)


「俺はお前等と友達ごっこする気はねぇんだよ!!......おい女」

嶺ちゃんが同意を求めるように差し出された右手を黒崎さんは素早く払い除けると、
鋭い視線は今度は私の方へ向けられた。


「はっはい!!」
「....お前はなおさらだ」



ギロ




「ッ」

「あっ!春歌ちゃんっ!!!」


私は走って部屋から出た。
階段を登り、自分の部屋へ駆け込む。
荒い息を整えながらドアにもたれ掛かると思考がだんだん正常化くる。

「私なんで逃げて来ちゃったんだろう....」


自分が何故あの場から逃げ出したのかその理由が暫く理解することが出来なかった。
気付いた時には体が勝手に動いてしまっていたからだ。


でもあの人は、
"・・お前はなおさらだ"


そう言った時の目には怒りや寂しさ苦しさ、人への憎しみ。
私には色んな感情が入り交じっているように見えた。


近寄るな


そう言われたような気がして。


(私は黒崎さんと仲良くすることはできないのかな..)




そうして夜が更けていった・・・−。



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