Voice story

□小悪魔的
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「風香大好きだよ。」


いつも彼は唐突にこういう事を言ってくれる。
この日も毎度と変わらず優しく微笑む彼。
だけど、たまには私も気持ちを強く伝えたくて。
今日は少し意地悪をしたくなった。


「ありがとう。..でも私の方が好きだけどね?」
「なにそれ〜!絶っ対俺だわ」
「ふふふ。悪いけど私の方が大好きだから。根拠はあるんですか〜?翔太さん〜?」


なんて、ふざけて言ったつもりだったのに。
茶化した私へのお仕置きかのように。


「根拠、か。」
「へ?」
「..分からせてあげようか?」


初めて見る彼の顔に軽く怖じ気付く。
その目の奥の不敵さは、中性的な顔立ちでいつも言動が可愛い彼からは想像出来ないほどだ。


「んぅ!しょー、たっ」
「ちゅ。は...んっ..」


今までに無い強引かつ激しい口づけに頭がパニックになりそうになる。
一体どうしてしまったのだろうか。


「んっ...は..しょうた!」
「...っ!」


唇が一瞬離れた隙に私は彼の名を叫んだ。
そこで我に返ったような表情をして、私を優しく抱きしめる。


「ごめん。強引だった」
「..ううん、どうしたの?」
「風香はさ、俺が可愛い??」
「え?うん、そりゃ綺麗で可愛いよ」


そう答えた瞬間に抱きしめる力が少し強くなった気がした。
何故こんな質問をするのか私には分からない。


「風香には、俺のことカッコイイって思って欲しい」
「へっ?!」


唐突に言うものだから驚きよりも笑みが零れてしまった。


「そんな事当然だよ。しょーたがお仕事から帰ってくる時とか、家で台本チェックしてる時とか、TV見てる時の表情とか私に向けてくれる笑顔や寝顔だってそう。..全部に男らしさを感じてる。」
「風香....」
「かっこいいなって毎日思ってるよっ」


日々の中で彼女である私がどう思っていたのか、彼なりにちょっと不安に感じていたんだろうなと思う。
だから、彼の目を見て伝えた。


「うっ...どうしよう。俺、泣きそうっ!風香大好きー!!」
「....ってもう泣いてるよ、ふふ」


こんな風に嬉しさで涙ぐんでしまう彼はやはり可愛らしい所があるけれど、カッコイイことには変わりない。
翔太は翔太らしくいつまでも居て欲しいと思う。










My diabolic boy

(天使面と思って攻撃的になれないとでも..?)






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