Voice story

□愛のクチヅケ
1ページ/2ページ



純白な衣装を身に纏い、腰につけたヴェールをふわふわと揺らす。
美しい天使のような大好きな彼が映る画面を見ていると幸せな気持ちになれる。
と共に、近頃忙しい彼に会えない虚しさで一杯になる。

だけど明日はそんな彼の誕生日。
都内でCD発売記念イベントを控えているが、夜には家に来れると随分前から約束をしていたのだ。
何をプレゼントしようかと頭を悩ませやっと用意したものはキラリと星が光るシルバーネックレス。
私なりに彼が好みのブランドショップからチョイスしたものだ。


次の日の夕方。
疲れた状態で来てくれるであろう彼の為にご飯を用意していると机の上の私のスマホが点滅した。


”ごめん、事務所に寄ってくるから遅くなる(T_T)”


何時になるのかな。ケーキまで用意したのにな。
甘いものが大好きな彼の為にアップルパイを焼いてみたのだ。
我ながら上手く焼けたため、見せるのを楽しみにしていた。


"了解!気をつけて帰ってきてね( ´-` )"
とメールの返信を済ませると、彼が帰ってくるまでTVでも見て待つことにした。
バラエティ番組がやっていたけれどどれも見るには退屈で。
録画ディスクを起動し、彼が出演した音楽番組を選択する。
前回のシングルの曲だったけれど、ハイトーンボイスが際立っていて素敵で。
更に会いたくなってきてしまった。


「翔太..早く帰ってこないかな...」


私なりに精一杯、彼の生誕を祝おうと気を貼っていたせいか少し眠くなってきた。
瞼が完全に閉じ切ろうとしたその時。
玄関のドアが開く音がした。


「..あっ!おかえりなさい!」


それを察知した途端に眠気なんて一気に吹っ飛んだ。
勢いよく玄関に走っていく。


「ただいま、風香。..遅くなっちゃってごめんね?」
「ううん、お疲れ様。ほらほら上がって!」


彼の手を引いてリビングに連れ出す。
机に並べたケーキと料理、ささやかではあるが飾りを施した部屋に彼は驚いた表情を見せ、
後に口を手で覆った。


「ど、どうしたの??」
「俺..嬉しくてっ」


あぁ。とびきりの笑顔だ。
これが見れただけで私はとても幸せな気分になれる。


「風香ありがとう!!大好きだよ」
「うん、私も...ん」


愛の告白をくれた翔太は私に優しいクチヅケをくれた。






"お誕生日おめでとう、翔太 。"






Kiss of the love

(このケーキめっちゃ美味しい!!)
(ほんと?よかった〜)
(お嫁さんにしたら毎日作ってもらいたいなぁ)
(...っ///)




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ