Voice story

□ブルーバード
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現在、私には1年程前から付き合っている恋人がいる。
彼の名前は蒼井翔太。そう、人気若手声優のあの、蒼井翔太だ。

私達の出会いは偶然であり、今考えれば必然だった。
1年前、夕方 仕事終わりに職場近くのカフェへ1日の疲れを癒すためにお茶をするのが日課だった私は、毎日ほとんど通っていた。

彼も私と同じように毎日通っている常連のその1人だった。

その日もいつものようにカフェへと入り、店員さんに覚えられている私は、軽く店員さんに会釈をして、モカを受け取りいつもの席へ座った。

仕事の書類を確認していると、いつもの彼が店に入って来た。
彼もまたいつものようにキャラメル系のドリンクを受け取って。
ここまでは日常だった。


「隣、良いですか?」


と、突然こちらに寄ってきたのだ。
カフェ内の席はたくさん空いているのに。
おかしいなと思いつつも素早くカバンを退けた。


「ぁ、どうぞ‥」
「ありがとう」


彼は私の隣へ腰掛けた。

しばらくの間、私達の間には沈黙が漂っていたが、それを破ったのは彼だった。


「…あの、君、毎日ここへ来てますよね」
「そうですけど‥。あなたも毎日いらしてますよね」
「覚えてくれているんですか!嬉しいなー」


にっこりとまだ幼さが残る健気な笑顔の彼。
これが私と翔太の始まりで..

それからは毎日、翔太と話すようになった。
誰にも理解してくれなかったカフェの雰囲気やコーヒーの風味も、彼は自分も癒されるんだと共感してくれたし、
彼が声優を目指して頑張っていることを教えてくれた時は、素直にその夢を応援したいと思った。

今思えば、この時から私はもう翔太に想いを寄せていたんだと思う。

夕方毎日顔を合わせる生活も1ヶ月程が経ったある日、私は彼から告白された。
付き合って欲しいと言ってくれた時は本当に嬉しくて直ぐに返事をし、
私達は付き合うことになった…ー。




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