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□おやすみなさい
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布団の中で彼女が蠢く。
『りょーた』
彼女の手が伸びてくる。
俺のシャツをぎゅっと握って、顔を埋める。
触れる髪がくすぐったくて、
シャツを握る手が小さくて、
当たる吐息がいとおしくて、
伝わってくる体温が心地よくて、
無意識に手が伸びた。
片方で腰を引き寄せて、片方で頭を撫でて。
「どうしたんスか?」
『眠いからこのまま寝てもいい?』
「いいッスけど…そろそろ帰んないとヤバイんじゃないッスか?女の子なんスから危ないッスよ」
『大丈夫、今日はお泊まりするから』
どうやら俺の家に泊まることは既に決まっていたようだった。
『りょーた手が止まってる』
頭を撫でていた手を再び動かす。
『りょーたもっとぎゅってして』
彼女を抱く腕に力を込める。
『このまま一緒に寝る』
「了解ッス」
『私が寝たからってどっかに行っちゃダメだからね』
「行かないッスよ」
こんなにいとおしい人を目の前にして離せるわけがない。




彼女は突如俺を見上げる。
『おやすみなさいの』
ちゅ
キス、と言われる前にキスをした。




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