ネタのタネ

□ネタ集・時乙女(Fate/Zero)
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暗くジメジメとした蔵の中、一足先に来た麗は暗闇の中で蠢くおぞましいモノを睥睨した。


『何これ……完っ全にトラウマ物じゃない。』


少なくとも、形状は未成年が見るべき物ではない。
かく言う麗も精神年齢で言わせて貰えば、未成年に入るのだが。
そんな事はともかく、サーヴァント女子組を連れてこなくて正解だったなー、と思っていると、それらは襲ってきた。


『!』


二次元がリアルになると、本当に恐ろしい。
しかし、今直面している問題も世界も二次元がリアル化した物だし、かく言う自身だってそう言う分類だ。
次の瞬間。


『去れ。貴様ら如き、有象無象が近寄るでないわ。』


普段見せない王としての顔────それと共に放たれた威圧感と共に蟲達は破裂を起こした。
無残な姿と化したそれらを冷たく一瞥すると、麗は奥へと進んで行った。
蔵の最奥………そこにいた哀れであり、悲劇的な運命を辿る事になるであろうこの家の養女を見つけた。


『……………。』


最早、怒りだけだ。養女の、絶望しきった目を見て思った事は。
頭を落ち着かせる為に、息を吐いて養女へ近寄った。


「………おねえさんは、だぁれ…?」

『待ってね、今解放させてあげる。』


何の感情もない声を発した養女の手首に付いた枷に触れる。
その途端にパンと音がして枷が粉々になる。
次に養女の下半身に群がる蟲共を一睨みして、先程と同じく一掃した。気持ちが悪いだろうと、手で払うと粘着質な液が付いて嫌悪感を抱いた。
解放された彼女に王たる証である上着を肩に掛けさせて言った。


『行こう、外へ。』














蔵の外へ出ると、待機していたのか乃亜がそこにいた。


「お帰り〜、取り敢えず無事かい?」

『これのどこが無事だって?実際、目にすると本当に腹立たしいわよ。
それより、屋敷の方は?』


蔵から出た麗は屋敷の方を向いた。屋敷の制圧は英霊達に任せており、総指揮を任せていた乃亜がいると言う事はもう片が付いたのだろう。


「人間をやめちゃった不届き者なら、拘束してるよ。それと、アル中と死にかけの兄弟がいたけど……どうする?」

『じゃあ、アル中は適当に言って病院に行かせな。死にかけってのは、多分今回の聖杯戦争の参加者でしょ。バーサーカーのマスターね。
なら、彼に話があるからこの子と一緒に屋敷に連れてくわ。』


乃亜に桜を渡し、屋敷の中へ入っていく。
人の気配がする所へ向かうと、乃亜特製の拘束具によって動きを封じられた元凶を見つけた。


『やあやあ、初めまして。人間やめちゃったお馬鹿さん?』

「何じゃ、貴様!聖杯戦争前に仕掛ける『本来の目的さえ忘れてる様な奴に言われたくはないんだけど。』


スッと、どこからともなく取り出した宝剣を願望を求めた果てに向かって突き付ける。


『あんたの当初の願いは、あたしの様な奴から言わせれば馬鹿らしいとは言え、個人的に言えばまだその根性は見上げたモンだよ。


けどね、』


『本来の目的を履き違えた上に、己の子孫をあんたの食い物にするってどう言う事よ。
ましてや、幼気な子の生涯をあんたみたいな醜悪な奴の為に無為にするとか………何、ふざけてんの?』


聖なる道に連ねる皇女は剣を構える。


『あたしの前で、そんな暴挙…罷り通ると思ったら、大間違いよ。』




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