ひとつ
□イヤーカフ
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「先輩先輩!ちゅーしましょうよ!」
「はぁ!?場所を考えろ!」
月曜の朝っぱらから道のど真ん中で男同士キスをしていたら通勤途中の方々がぶっ倒れてしまう。というか俺もぶっ倒れたい。
「先輩、人いませんから。」
俺の隣に並び、俺の手をキュッと掴んだ。
そして、そのくらいの常識はありますよ?と言いたそうなドヤ顔。
「腹立つ…」
「えぇ!?」
「その口塞いでやりたい。」
「先輩が塞いでくれるんすか!?
や、俺、どっちかというと塞ぎたい…」
……何を言っているんだこいつは。
「せんぱぁい…ちゅー!!」
「叫ぶな馬鹿野郎!
分かったから!分かったから黙れ!」
俺、今顔赤くないよな…。
俺は学校に続く路地裏に匠を連れて行った。
「…せ、先輩?」
自分がしたいと言っていた割には顔を赤くしている。したいのかしたくないのかどちらだ。するのならさっさとしてほしい。遅刻してしまう。
…まあ、俺もしたいし。
あ?デレだと?ふざけるな。
俺は男だ、好きなやつ目の前にして欲情しない方がおかしい。
「早くしろ、首が疲れた。」
俺より背が高いくせに赤面するな!
「あ、ぅ、…じゃあ…。」
匠は俺の両肩を掴み、顔を近づけた。そして、俺は目を閉じた。
ふにっという柔らかい感触。
匠の熱い体温が伝わってくる。
そして珍しくそれだけで終わろうとする匠
「…んんっ!?」
残念ながら俺はそれだけで満足できるほど無欲ではない。匠の後頭部を引き寄せ、驚いて開いた口に舌を滑り込ませた。
「ぁっ、せんぱ、…ふ…っ…。」
うんうん、焦ってる焦ってる。
「…は……匠…。」
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うわ、…ちょっと待って。
匠くんピーンチ☆
先輩の、顔が…ぁぁ…
まずい、これはまずい。
襲っていいかな、だってカレカノ…ん?カレカレか。いいもん、付き合ってるし。
紅潮した頬に濡れた唇。
切れ長の目がこちらを見つめている。
「せ、センパイ!」
「呼び方を昔に戻すな腹立つ!」
うっ…毒舌もたまらん…。
「あの、俺…。」
喋りながら先輩の制服をはだけさせていく。
「ちょ、…待て匠…。」
本気で抵抗しないってことは、
肯定と受け取っていいんすよね。
「先輩、俺…勃ちました。」
「…〜っ!知らんそんなもの!そこらで自慰でもしてこい!」
そこらで自慰とか、捕まりますよ。
そこでふと思いついた。
俺は先輩にしてもらいたいことがある。先輩と付き合う前も、そのことを想像して抜いていた。決してエロ本では抜いていない。先輩で抜いてました。先輩には言えないけど。
それをやってもらうために俺は先輩の性格を少し利用させていただく。
嫉妬深い性格を、ね☆
「あ、俺女の子にー、口でやってもらったことがあるんすよー。」
嘘をつくときの俺の癖。
語尾が伸びる。
…先輩、気付いてないっすよね?
「……。」
ピクリと反応した大樹先輩。
…大樹先輩、ふふっ。
名前って照れるね!
「だから先輩、やってくださいよー。」
「…わかっ……い、嫌。」
言いかけたよね、本能的に言いかけましたよね先輩!可愛い!なんて可愛いの!
「…分かりました…、じゃあその女の子に頼んでみます。今日サボりますんでよろしくお願いします…。」
「い、行くな!」
…お?(^ω^匠)
コホン、失礼…。
「…俺、ふぇ、ふぇ……ぅ、ら…。
あ"ー!もう!口でやるから…、行くな。」
…釣れた釣れた。
「ふふ、そっすか!
じゃあお願いします!」
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