ひとつ
□試してみる?
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とりあえず資料集め用のパソコンを立ち上げ、BLのイラストを検索した。
俺はそれを見ても動じず、
大体のイメージをレポート用紙に描き、
イラストだけでなく、描くコツや、BL漫画家などのコメントを書き写した。
「…こんなもんだろ。」
「描いてくれるの…?」
「ん、まぁ…新しいジャンルだし、面白そうだから…描いてやる。」
「ふふっ…ありがとう。
できれば俺×神威がいいな。」
「ふむ…それも面白そうだな。」
こいつとは幼稚園からの縁だ。
いつからかな…
こいつの目線が熱くなってきたのは。
俺はこいつの気持ちを知っている。
だけど俺はそれに応えられない。
理由なんて単純だ。
ノーマルだから。
「…少し暑いな…春のくせに。」
「冷房つける?」
「いや、そこまで暑くねぇ。
ま、編集者来るまで全然日にちあるし、BLの方も少し描いとくか。」
でも…やっぱ調べただけじゃ良くわかんねぇ…。俺は腐男子でもねぇから、妄想できねぇし。
男同士というものの魅力がわかんねぇ、だからアイディアも出てこない。
つまり、物語が浮かばない。
「はぁ…」
俺は鉛筆を原稿の横に置き、
そのままベッドへダイブ。
「何、どうしたの。」
「なーんも浮かばねぇ。
BLなんて描いたことねぇし…
考えたこともなかったし。」
俺が女だったら、
男にヤられる気持ちも分かんだろうなー
そう言うと渚は驚くべきことを言った。
「じゃあさ、俺と試してみる?」
「…は、はい?」
俺はとんでもない状況についていくことができず、素っ頓狂な声が出てしまった。
†