ひとつ
□玩具
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「綺麗なお嬢さん、
そろそろお帰りのお時間ですよ?」
「んんー?
お嬢さん?あたしのことー?
いやーんお上手ねぇ…。
でも帰らないわよぉ……?
貴方とまだまだ居たいもの…。」
…相手した覚えねぇけど。
「ですが…」
「嫌って言ったらいーや!」
「…では、また明日、綺麗なお姿でここへ来ていただけませんか?」
我ながら気持ち悪いな…
菅野はめっちゃ冷めた目でみてるし。
「綺麗なお姿?
んもぅ…余計帰りたくなくなったわ…。」
…手強いな。
だったら…最後の手段…。
「………、……?」
「ふぇぁ…か、帰ります。」
女性客は、耳元で囁いた俺の言葉に顔を赤くし、そのままフリーズしてしまった。
「はぁ……菅野!
こんなもんだ!俺ァタクシーにお嬢さん乗っけとくから、後はよろしくな!」
「は!?こんなもんって…よくわかんないです!……行っちゃったよ。」
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「もう…まぁいいか。」
客を姫抱きにして外へ出た本橋さん。
正直酔っぱらいの対処なら俺の方が上手いと思った。お嬢さんとか言う本橋さんにムカついた。何なんだよあの人…。
対して接客がうまいわけでもない。
酒の値段は高くも安くもない、
なのに何でこんな繁盛してんだ…?
…客に媚びてんじゃねぇよ。
「おい菅野、
ぼさっと突っ立ってんな。
働け、嫌なら辞めろ。」
「…いえ。」
…絶対弱味握ってやる。
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