ひとつ

□サボり
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「冷たっ…!」


そう、奴が手に持っていたのは保冷剤だった。体がビクリと跳ね、椅子から転げ落ちるところだった。




「うん、おっけー。
パンツにはさんどいたから。

そこのベッドで下半身晒して我慢してな。」




「…殺されたいのか。」



「いやだなー。


ってか毎日毎日学校サボって喧嘩して…何が楽しいの…?」




「あぁ…?

や、別に楽しくなんかねぇよ。
ヤンキーになったって利益も何もねえだろ。ただムカつく奴殴ってたら知らず知らずの内に不良になってたってワケ。


その証拠に髪だって染めてねぇだろ?」




「そうだね…。」




ベッドのカーテン越しに遠くで話している。俺はそのつもりだった。



でも奴はカーテンを荒々しくあけ、俺を乱暴に押し倒した。






「……え。」





こういうことに慣れてない俺は、どうすれば良いか分からず、その前にこの状況に脳がついて行けず、そのままフリーズしてしまった。






「染めてない…ワックスもしてない…綺麗な髪…。」



俺の髪の毛を弄り、体を撫でる平川。






…はっ!





「辞めろ…っ…クソぉっ!!
何で…っ…こんな時に…!」




右手は折れてて殴れず、左手、右足は平川によって抑えられている。左足はさっきよりも痛みが増してきたようだ。





それでも、足が痛むくらい平気だと、平川を蹴り飛ばした。利き足じゃない所為か、平川はよろめく程度だった。


だがその隙にこいつの眼鏡を外し、踏みつけた。









「くそッ…襲われてたまるか!」




「…あーあ。


…俺の理性…壊したな?」





ジリジリとこちらに近付く平川。





「…平川?」



「月…呼ばねぇと挿れんぞ。」



「ヒッ……ゆ…ゆえ…。」




喧嘩は、体を壊しては何も出来ない。




…強姦はどうだ…?










だから…こういうのは怖くてたまらない。








「知ってる…?
不良って臆病なんだぜ?」



「な、何で言い切れんだよ…。」




「俺も昔…不良だったからな。」






「興味ねぇ…っ…。」







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