ひとつ
□サボり
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骨折なら病院行けってなるけど…病院は金かかるし、あの保険医の方が優秀といっても過言ではない。治療にまわす金なんて、俺にはない。
学費は理事長脅してただにしてもらってるし。
中学生の妹の学費はしっかり払っている。俺の所為で妹が虐められたりしても困るからな。両親は俺に勘当して出ていくわ親戚には変な目で見られるわ…。
妹まで巻き込まなくたっていいのにな。
ピシャン!
「…折れた。」
「………。」
「蹴るぞ。」
「あのさぁ…さっき来たばっかだよね。」
「喧嘩してきた。
はやく済ませろ、帰る。」
「折れたのにそんなはやく済む訳ないでしょ。雑な手当したら怒るくせによく言うよ。」
「…殴られたいか?」
「その手で?」
「左手がある。」
「殴りたきゃ殴れば…?
これ以上問題起こしたら…」
「退学でも何でもしてやるよ。」
グイッ
「!?」
「…月(ゆえ)さん?」
腕を引っ張り、さっきの保険医と同じように顔を近付け、そいつの名前を甘い声で呼んだ。
「俺は月じゃない…平川(ひらかわ)だ。…あ、高比良、ズボン脱いでみて。」
「……はっ?」
一気に顔が熱くなった。
「何…そんな変なことしないから。」
「ちっ…。」
実は足も少し痛かった。
何もかも見抜かれる、だから俺はこいつが嫌いだ。
カチャカチャとベルトを外し、ズボンを脱いだ。一応制服は着てるんだ。
「ちょっとごめんね。」
「うわっ…あぶねぇ…。」
左足をぐわっと上げられ、
股に顔を近付けられた。
「イカくさ…いや何でもない。
ここの付け根、腫れてる。」
…っのヤロー!
人の股見つめてイカくせぇとか何様だ!
「あ、ちょっと待ってね?」
ワイシャツとパンツだけ残された俺…この格好ダセェ…。ネクタイもつけっぱだし。
すると、平川は何かを紙に包み、俺に近づいてきた。
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