ひとつ
□ピアス
3ページ/21ページ
「…ただいま。」
「おかえり〜!」
ドタバタとやかましい母親だが、これでも俺と血の繋がった母親だ。
「…あら?
それ、恋愛の極意じゃない!」
…しまった!
レジ袋が透けて見えていたようだ。
「お母さんも読みたかったのよ!
ていうか大樹もようやく恋愛に目覚めたのね!えいちゃん、えいちゃぁぁん!」
「…なんだい?歩。」
母、歩(あゆみ)
父、栄太(えいた)
…これだけ紹介しておこう。
もうこの場に居たくない、
恥ずかしすぎる。
俺は影の様に気配を消し、自分の部屋へ直行した。
そして、初めて買った恋愛本。
開くのを少し躊躇いつつ、そーっと開いた。
「…何だ、目次か。」
緊張して開いたにもかかわらず、
開いたページは目次だった。
そして運命の一ページ。
†