ひとつ
□イヤーカフ
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「せんぱーい!
はよーざいまっす!」
…敬語はどうした敬語は。
以前敬語で告白してきたこいつ、匠。
その告白を了承した俺だが。
ま、まあこいつのことは好きだから問題はないのだが…。
だが、だ!
問題はアレだ、あくまで条件はまともな敬語、ということだ!それがなんだ、今となっては敬語の面影など微塵も無いではないかッ!
「おい、敬語はどうした。
仮にも俺は先輩だぞ敬え!」
「おはようございますでございます本堂先輩。今日もお天気が麗しゅうございますね。」
あんなにまともな告白が今ではこのザマだ…。
つまり、"忘れた"のだ。こいつは。
例えるなら、テスト期間に無理矢理詰め込んだ暗記で100点を取り、数週間後同じテストで36点を取るというアレと同じだ。
「…わざわざ家まで来て不快になるような敬語を使うな馬鹿野郎。」
気持ちが悪いぞ。
俺は匠を無視して登校した。
「待ってくださいよせんぱーい!」
†