ひとつ
□酔ってない
1ページ/19ページ
「……ねえ。」
「あ、白岡(しらおか)先輩じゃないですか。どうしたんですか?」
「大(だい)って呼べって言ってるよね、いつも。」
僕みたいなひ弱な後輩に無茶を言ってくるこの先輩が、白岡大先輩。先輩を呼び捨てとか、普通無理だよね。
「七海謙吾(ななうみけんご)、今日飲みに付き合って?」
「…先輩こそ、フルネームで呼ぶのやめません?」
「うるさい、家に帰ったら連絡しろ、その時間に合わせて行くから。」
…はぁい。
僕は再びパソコンに向かい、仕事に励んだ。
男の一人暮らしだ、帰ったら温かいご飯とか、そんなもの無い。
だから、白岡先輩と飲みに行くのは少し楽しみ。というか、すごく楽しみ。
…あ、そうだ。
七海謙吾、23歳。
白岡大先輩に片想い中です。
†