ひとつ

□罪悪感
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ペシッ!


「っし!」




大丈夫、俺はかっこいい。





鏡に向かって俺はそう言った。






こんなナルシストな発言をするのは、自分自身に勇気をもたせるため。



チャラぶってるけど本当は常に周りの事しか考えない、お節介で、臆病者。



…本当の性格は、仲の良い女友達から見たら、まんま王子様とか…。




気持ち悪。











いけね、ネガティブになるな!






「ふぅ…行ってきます、兄貴。」










両親とは離れて暮らし、
兄と同居していた俺…。




兄は病で急死、
両親は分からない。


俺に勘当したのだろうか。









あ、俺の名前言ってなかったね、
小説のお決まり、忘れちゃだめだめ。




黒澤日向(くろさわ ひなた)
高校二年やってます。



















「…もうちょっと遅く来れば良かった」




…校門開いてないってどういうことよ。




確かこの近くにカフェあったよな…






…行こ「あのっ…!」





「…俺?」




「は、はい…友達が…これを。」




クリーム色のショートヘア。

…同じ制服だ。
さすが女子、アレンジを怠らない。





「手紙っ…渡しといてねって言われて」






「へぇ……ごめん、いらない。」





「…え?」





「俺、告白されるような人間じゃないから。」






「そんなこと…ないですよ…。
黒澤先輩ですよね……?

あの…だから…いや、その……
毎日……告白されてる…じゃないですか……?」



…毎日、ねぇ…。


毎日毎日告白されてはフって。
…こっちの気持ちも考えて欲しい。



軽はずみで告白なんかするもんじゃない
恋はもっと辛くて、
臆病者には難しくて、



切なくなる。




「じゃあ言っといてもらえるかな?
告白する気があるなら、
自分で告白しようねって。」




「は、はいっ!

あと……黒澤…、先輩。」





「なぁに?」






「…あの、…好き……。」






「へ?」





「好き……です…。
私を好きに…なってもらえますか?」








…何これ、新手の告白?






「悪いけど……、」







「絶対……好きにさせて…、見せます…!」





この子…何で前髪で目隠してるんだろ。



俺は試しにこの子の前髪をあげてみた。






「わっ……や、止め…」




…可愛い。


メークが薄くて可愛い女子を初めて見た




「…何で前髪切らないの?
せっかくこんなに可愛いのに。」





「だ…だって……、
ぁ…もう登校時間です…!

私…もう、行きますね…!」






駆け足で校舎に入ってった女子の姿を見ながら、俺は棒立ちでその子に手を振っていたから気付かなかったんだ。






「キャー!黒澤先輩がいる!」



「黒澤くんにお弁当渡してこよーっ!」









…いつのまにか女子に囲まれていた。










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