ひとつ
□サボり
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「っでぇ!!
もっと丁寧にやりやがれこの腐れ教師が!!」
ドスッ
「カハッ……!」
俺は傷の手当をする保険医の腹を思い切り殴り、再び椅子に腰掛けた。
「さっさと手当しやがれ。」
「はは…相変わらず手荒だね。」
落ちた黒縁眼鏡を、この俺に背中を向けて拾うという余裕を見せた保険医。…なんかムカつく。
「さ、もっかい顔見せて、亮平(りょうへい)くん。」
「なぁっ…!?」
唇がくっつきそうになるくらいに近付かれ、さらには下の名前で呼ばれた俺。
「顔、真っ赤だね。
熱でもあるのかな…寝る?」
バキッ
「っぐ…」
頬に一発、ストレートを食らわせ、俺は保険医の言葉を無視して保健室を出て行った。
「カハッ…貴様…!」
「高比良(たかひら)ァ…!覚えてろよ!!」
「っせぇ!
この俺に二度と喧嘩売るんじゃねぇ!!」
俺は近くの鉄棒を殴った。
殴っただけ。
鉄棒は折れていない…
「…折れたなこりゃ。」
プラプラと揺れる手首から下。
動かない、激痛…。
「また保健室か…。」
†