短編

□約束
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約束







俺の彼女は足が動かない

見るからに折れそうな位に細く弱い足は飾りのようにしかない

そして花は何時も俺を見ながら話す




『いつか真ちゃんと一緒に真ちゃんの母校に行きたいな』


儚い夢だと、わかっている。

それでも、叶えさせてあげたいのだよ。

花と出会ったのは俺がここの主治医に派遣された時だ

ベッドから動けない花を俺が担当者になり、いつの間にか少しずつ彼女に引かれたのだ






『真ちゃん、見てみて隣の病室の子がくれたの!、かわいい鶴でしょ?』


『今日は隣の宮島さんが退院していったの、凄く嬉しそうだったから私もつい嬉しくなっちゃった!』


『さっきね、退院していった子供たちが遊びに来てくれたの!』





来る日も来る日も彼女は楽しそうに一日を話す

微笑ましい光景で、彼女は本当はとても幸せそうに話す


だから、もっと彼女に笑って欲しくて医者の貴重な休暇を使って母校にいってみた。

前に一度花が俺の高校が見たいと言ったのでつれてきた

彼女にとって学校と言うのは憧れだったみたいだ


車椅子に花を乗せ無駄にデカイ母校へ来ていた。


緑「懐かしいな…」

『ここが真ちゃんの母校?凄く大きいんだね…』

緑「あぁ」


『あ!あそこ行こ!』


緑「分かったから少し落ち着くのだよ」

子供のようにはしゃぐ彼女はとても輝かしい笑顔を振り向けてくれる

連れてきて良かったと自然に思った

だから


緑「いつか、足を治してやるから其まで少し待ってくれないか」


約束をさせてしてくれ

足が治っても治らなくても

…これからもずっと隣でいてくれることを







『いくらでも待つよ』
 

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