Towards light

□最後の船長命令
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海賊の一人が、ルフィが放った覇気で倒れた仲間に叫ぶ。



「おい、しっかりしろ!…今のは、こころか?」

「こころならこんな無茶苦茶な使い方しねぇだろ。」

「じゃぁ、エースの弟が…」



白ひげは目を見張っていた。


白「・・・」

フォ「オヤジや赤髪、こころと同じ覇王色の覇気!」

マ「あいつがやったのかよい。」



赤「どうやら今のは無意識じゃのう。」

黄「おそろしい力を秘めてるねぇ。」

青「…」



ガ「やはり持って生まれたか…」

エ「おまえも…」



ド「気の弱い者は去れ!ただのルーキーだと思うな!覇王色の覇気。革命家ドラゴンの息子だ、当然と言えば当然の資質!」













イワ「う゛ぁなたさっきの、あんな力どこで身に着けちゃぶるの?!」

『そうよ、まさかルフィも使えるとは…』

ル「あ?何が?」

『…え?』

イワ「なん、でもない!」



更に質問をしようと口を開きかけたこころに代わって、エンポリオ・イワンコフが話をさえぎった。



『イワちゃんさん…』



納得のいかない顔でこころがイワンコフを見上げたのは言うまでもない。

イワンコフは「気付いてないのよ」という意味合いを込めて一度頷いた。

こころもしぶしぶといった感じで前を向く。





その瞬間、白ひげが大気を殴りつけ、その反動で爆風が起こった。



白「グララララララ。腰抜け海軍どもが、ひよっこ一人に総がかりか!俺の首はどうしたぁ!!」



今度は薙刀を振り上げて、大気にヒビを入れる。



「まず白ひげだ!怪物とはいえ、これだけの手負い。なんとしてもなぎ倒せ!」

白「…上等。」



イ「俺たちはオヤジを支えるぞー!」



雄叫びと共に、白ひげ海賊団対海兵の戦いが、再びスタートした。




イワ「麦わらボーイ、こころ嬢、今のうちっきゃぶるよ!」



こころ、ルフィ、イワンコフも前に向かって走りだす。

海兵をなぎ倒しながら。













攻防の中で、白ひげが口を開く。


白「集まってきやがったな、海兵ども。」



赤「力押しか。」

黄「いつまでもつかねぇ。」



エ「オヤジ…」

フォ「オヤジ、その傷でこれ以上の無茶は!」



仲間たちの心配をよそに、白ひげは叫んだ。



白「野郎ども!これより、麦わらのルフィを、全力で援護しろー!!!」



『白ひげさん…?』

イ「エースの弟を?」

マ「オ、オヤジ…」




黄「今すぐ麦わらのルフィを始末しろ!」



白ひげの言葉を聞いた黄猿がすぐに指示を出し、モモンガとダルメシアンがルフィに向かって走り出した。



『ルフィ!危なっ・・・』



こころが危ないと言いかけて、周りを見渡せば、いつの間にか白ひげ海賊団や、その傘下の海賊たちが加勢してくれている。



ル「なんだ?こいつら!」

ラ「急げ、エースの弟!今海軍の戦力がオヤジに向いてる、この機を逃すと大将は超えられねぇぞ!」

『白ひげさん、無茶しすぎよ…』

イワ「一大事よ、麦わらボーイ。世界一の海賊が、う゛ぁなーたを試している!」

ル「え?」

『白ひげさんが、ルフィにかけてるのよ。…大丈夫かなぁ。」



こころは後ろ髪を引かれるようにして、白ひげの方を見やる。

そんなこころを見て、ルフィが口を開く。



ル「白ひげのおっさんが何だか知らねぇけど、俺がここに来た理由は、始めから一つだ!!」



ルフィの言葉を聞いて、こころは微笑んで頷いた。



『うん、その通りね。』

















海兵をかき分け進んでいくと、鷹の目(ジュラキュール・ミホーク)が黒刀を振り上げていた。



『まったく…懲りないわね。』



こころが海兵から奪った刀を構えていると、その前にMr.1(ダズ・ボーネス)が立ちはだかり、鷹の目の攻撃を受け止めた。



ル「あ、お前!」

1「社長命令だ、いったん海軍を敵とする。行け!」



Mr.1に促されて、ルフィが走り出す。



『…やっぱり手を組むんじゃない。』



こころがムスっと顔をしかめたところで、鷹の目がMr.1の目の前に現れた。



ミ「ダズ・ボーネスだな?」

1「ッ―!」



Mr.1がスパスパの実の能力で鷹の目に斬りかかるも、一撃されてしまう。

再び標的をルフィに戻した鷹の目は走り出し、イワンコフの攻撃をかわして、ルフィの後ろに迫っていた。



『そうはさせな…え?』



こころがルフィを守ろうと、鷹の目の前に現れたと同時に、誰かに首根っこを引っ張られて、


ク「どいてろ、邪魔だ。」


と投げられた。



ル「こころ!」

「わ!…あ、ルフィ、ありがとう。」



こころはルフィにキャッチされて、地面に倒れずに済んだ。



ミ「クロコダイル…」

ク「いつまで寝ているMr.1。」

1「牢屋暮らしで体が鈍っちまったようで…」

ク「てめぇら二人揃って邪魔だ。とっとと失せろ。」

『…ルフィ、行こう。』

ル「あぁ。」




思わぬ助太刀に、クロコダイルにその場を任せて、ルフィやこころたちは走り続ける。

「クロコダイルさんも素直じゃないわねー」なんてこころがぼやきながら。




ラ「一時でもいい!処刑台への道をつくれ!!」



ルフィが海兵をふっ飛ばしながら、こころが刀で応戦しながら、それぞれに海兵を押さえながら…

それはいつの間にか、



『出来た…』

ル「道が、出来た!!」

イワ「処刑台はもうすぐよ!う゛ぁなーたは、ただ真っ直ぐ走りなさい!」

『そうよ。私が全力で援護するわ。』

ル「あぁ!」



イワンコフが立ち止まる。



イワ「ここからはう゛ぁたーしたちの出番ね。傷が癒えてないのに無理させて悪いわね。う゛ぁなーたの力が必要なの!」

イナ「お安いご用です、イワさん。ご心配なく。」



こころとルフィが走っている隣を、イナズマが地面にハサミを突き刺しながら進んで行く。



ル「カニちゃん!!」

『イナズマさん…』



イナズマが切り終わった地面は大きく翻り、エースがいる処刑台へと架かった。



ル「橋が架かった!よぉし!!」

『あと少しよ!』



「麦わらと死神が真っ直ぐ処刑台に向かっています!」

「やつらを行かせるなぁ!!」

「駄目です!海賊を突破出来ません!」

「ええい、砲を使え!やつらを狙い撃てー!!」



しかしルフィとこころに向かって撃たれた砲撃は、白ひげ海賊団隊長たちによって防がれる。



フォ「エースの弟、そのまま走り抜けろ!!」



「一点突破だ」と指示が飛び、海兵が処刑台へと続いている道を塞ぎにかかる。

「麦わらを通すなー!!」



『そこに居られると困るの。』



道を塞ぐ海兵の目の前に現れたこころは、海兵をまとめて蹴り飛ばすと、ルフィに向き直った。



『ルフィ、あとは任せるね。』

ル「?!…こころは行かねぇのか?!」

『うん、エースはルフィが助けるってそう言ったでしょ?でも、何かあったらすぐ追いつくわ。』

ル「あぁ、頼む。必ず助ける!」

イナ「ルフィ君、行け!」

ル「おう!ありがとう!」



ルフィは処刑台へと続く道を登って行く。

こころはそれを眩しそうに見上げた。



「麦わらを行かすなぁ!!」

イワ「DEATH WINK(デス・ウィンク)!!」



ルフィを仕留めようと走り出した海兵を、イワンコフがウィンクで吹っ飛ばした。



イワ「ここは通さなっしぶる!ヒーハー!!」


『ルフィ、行ってらっしゃい!』






黄「あんな小僧を切り札に使うとはねぇ、白ひげ。だが行かせないよう。」



全身から光を放ち始めた黄猿を、白ひげが薙刀で切りつける。



黄「白ひげ…」

白「おめぇは大人しく見てな。」



処刑台への道を登り続けるルフィ。

しかし、その中腹から誰かが飛びだしてきた。



『あれは…』



ル「祖父ちゃん!そこどいてくれー!!」

ガ「どくわけにいくか!わしゃ海軍本部中将じゃ!!お前が産まれる遥か昔から、わしは海賊たちと戦ってきた!」

エ「ジジイ!」

ガ「ここを通りたくば、わしを殺してでも通れ!!麦わらのルフィ!それがお前たちの選んだ道じゃ!!」
 
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