Towards light
□危機的状況
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白「こころ、」
『…はい』
白「俺はお前に一目置いているつもりだ。」
『・・・』
白「おめぇは赤髪にそっくりだなぁ。」
『そ、うなんですか…?』
白ひげの言葉に驚きながらも、大好きなシャンクスに似ていると言われて、こころは嬉しそうな顔をした。
白「あぁ。エースの弟の所へ行け。やつを死なすんじゃねぇぞ。」
『…はい。白ひげさんも、無茶しないでくださいね。』
こころはそう言うと、白ひげの隣からすっと姿を消した。
白「心配無用だ。…ロジャーとは、言ってやれねぇがな…。」
白ひげは薙刀を処刑台へと差し向けた。
…
ル「すげぇなあのおっさん、刺されてんのに…」
『ルフィ、急ごう。』
こころはルフィの隣に姿を現し、一緒に走り出した。
ル「あぁ!」
…
雑踏と騒音の中で、包囲壁の作動が遅れている事を知ったジャン・ジャイアント中将が、なりふり構わず刀を振り上げ、その最後の矛先は白ひげへと向けられた。
しかしそれを片手で弾き返し、白ひげは大気を掴んで振り下ろす。
その瞬間、氷床が斜めに傾きだし、ルフィはバランスを崩して倒れ、こころはなんとかその場に踏みとどまっていた。
ル「海が…」
ルフィが目を見開き見た光景は、海が斜めに傾いている姿だった。
『白ひげさん、手加減ないわね。』
こころがそう言った傍から、氷に亀裂が入り、足場が崩れる。
『…え?』
ル「うわぁーー!!!!!」
『ルフィ!』
氷の裂け目に落ちていくルフィの手を取り、こころは思いっきり上へと投げた。
『誰かルフィを受け取ってよ!』
ル「こころ!!」
ジ「ルフィ君!」
氷の上で待っていたのはジンベエだ。
ル「ジンベエ!こころが!!」
ジ「心配するな。お譲ならいるぞ!」
ル「…え?!」
ルフィが振り返ると、こころが不機嫌そうな顔をして立っていた。
ル「こころ!よかった無事で!」
『ル…わっ!』
ル「ありがとな!おめぇには助けられてばかりだ!」
『分かった、分かったから!…離れないと殴るわよ?』
こころがそう言って拳を上げると、ルフィはこころを抱きしめていた腕を緩めた。
ル「しかし敵も味方もねぇのかあのおっさん!」
ジ「クルー達はわきまえて避難しとるわい!」
再び白ひげに攻撃をしかけたジャン・ジャイアントは、グラグラの実の能力の前に倒れる。
そして、その反動は処刑台まで行き届くが、三大将に防がれた。
…
白ひげの作った機会を逃すまいと、白ひげ海賊団は走り、ルフィもこころもまた走る。
そしてルフィは壁に向かって思いっきり腕を伸ばした。
しかし、もう少しで届きそうというところで、新たな鋼鉄の壁が出現した。
『包囲壁ってこのことだったの…』
大砲が全て、こちらを向いている。
しかし一か所だけ、オーズが倒れている場所だけ、包囲壁が作動せずにいた。
『オーズ…あなた、エースの為に…』
白「勝機ありだ。」
…
その直後、赤犬(サカズキ)の「流星火山」という掛け声とともに、マグマが空に打ち上げられた。
イワ「何事っちゃぶる。・・・空へ、消えた…?」
『違う、…来るよ。』
ヒューという空爆のような音と共に、拳の形をしたマグマが落ちてくる。
逃げまどう海賊たち。
セ「どこにも逃がさん!氷を溶かして足場を奪え!!」