middle of a dream
□豚丼の行方
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夏休みが終わり授業が始まり、変わったことと言えば、常盤が規則破りで豚舎掃除に駆り出されたくらい。
あ、トサカヘアーはつるつる坊主になってたなぁ…
御「こころ〜!」
『んー…?』
多「なに?上の空?」
朝食のカレーにさしたスプーンを握りしめたまま、私は違和感を覚えていた。
食堂ではカレーの肉は何派かを言いあっている。
「豚派多いな!」
「うち、スキヤキも豚だぞ。」
「がっつり豚肉食いてーなー。豚丼とか!」
豚丼…
そうだ、出荷もうすぐだって、富士先生言ってた…
多「こころも気になるんでしょ、豚丼。」
答えられないでいると、「図星ね」と多摩子ちゃんが言った。
ギガファームでの牛の処分の時に、なにか気付かれたのかな…
顔に出てたかな。
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八「こころ!」
朝食を食べ終えて食堂を出ようとしたところに八軒がいた。
『なに?待ち伏せ?悪いけどまた今度ね。』
手をひらひらさせてそのまま去ろうとしたら、
八「いちたすいちは?」
『バカにしてんの?』
つい取り合ってしまった。これじゃ八軒の思うつぼだ。
キッと睨むと「やっぱこころはそうでないとな」なんて意味不明なことを言ってきた。
『で、用件は?』
八「豚丼のことでさ、さっきの会話聞こえた。牛の時もしょ気てたもんなー。」
『なっ…』
気付いてたのか。
なんか八軒にはみっともないところを見られてばかりな気がする。
なにに腹が立つのか分かんないけど腹立つ。
八「ちょっと…」
面を貸せと目くばせしてきた。
『なに?』
やってきたのは職員室の前。
八「……よし!」
八軒は小さく気合を入れて扉を開けた。しかたがないので後に続く。
八「失礼しまーす。す、すみません、先生……」
「どうした八軒、神原。」
八「ちょっと…相談なんですけど…」