middle of a dream

□夏休み その1
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八「うひょお、おおおおおおおお!!ちょっとおじいさん、飛ばしすぎっス!!!荷物落ちちゃう!!」

祖「せっかくアキが友達を連れてきたんだ!サービスサービス!!」

『おかしいよね…?』

八「おわっ、わっ、落ち・・・・・・うぉわーーー!!山、近ぇーーー!!」

『3人掛けに4人とか…』

祖「なんだこころちゃん、気にすんな!」

『・・・・・。八軒が居ることとか…』

御「私が誘ったの。父さんが腰のヘルニア悪化させちゃって。」

『あぁ、労働力。』

八「・・・・・。」





閉寮のため行き場を失った私達を乗せた軽トラックは、アキん家の玄関先で停車した。



『アキじいちゃん、乗せてもらってありがとうございました。』

祖「あぁ、いいのいいいの、こころちゃん毎年手伝ってもらってるから大助かりだー。」

『いえ、全然!』



車から降りると、さっそくアキママが自己紹介をした。



母「八軒君かい?よく来たねぇ、アキの母です。」

八「どうも、お世話になります。」

母「こころちゃんも久しぶりだねぇ。」

『半年も経ってないですよ。』



苦笑しながら答えると、アキママは玄関の扉をガラガラと横に引いた。



祖「あれシリウスは学校かい?」

『はい。』

祖「そんならタロちゃん貸すべ?家まで距離あるだろう。」

『ありがとうございます、助かります!』

祖「いいのいいの、」

『明日の朝にまた来ます。』



軽く頭を下げた時、玄関扉の中に入って行ったはずのアキと八軒が、ひょこっと顔を出した。



八「こころも泊るのかと思ってた。」

『うーん?…うーん。家の人待ってるし。』

母「晩御飯、食べていけばいいっしょ。」



なぜかアキママまで舞い戻って来た。



『また、お邪魔した時に…。』

御「そうだよ母さん、こころばあちゃんきっと張り切ってるよ。」

母「そうねぇ。」



そう言ってアキとアキママはけらけらと笑いだした。

八軒は首をかしげている。




『じゃぁ、また明日。』

御「うん、明日ー!」

八「おう。」



家の中に入っていく二人と別れ、アキじいちゃんに連れられて厩舎へタロちゃんに会いに行く。



祖「ちょっと待っててくれや。」



タロちゃんを見つけて頬を撫でていると、アキじいちゃんが乗馬用品を持ってきてタロちゃんに装着しはじめた。



『やっぱ輓馬は大きいですね。』

祖「…! 何言い出すべや。馬乗りこなしているこころちゃんが!びっくりしたべ!」



目を見開いた後、アキじいちゃんは、ははははは、と豪快に笑いだす。


素直に感想を述べたつもりだったんだけど…

でもそう見えているっていうことは、嬉しいことだ。




























『ただいまー!』



タロちゃんを軒下のスペースに作った、なんちゃって馬房に入れて、玄関の扉を開けて中に入った。

靴を脱いであがると、バタバタと音がして祖母ちゃんと祖父ちゃんが顔を出した。



「おかえり。」

『ただいま。』

「今日の晩御飯はこころが帰ってくるって聞いたからはりきったべ!」




あぁ、アキとアキママの推理ご名答…さすがご近所さん。
 
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