middle of a dream
□ピザが食べたい
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――朝、午前9時。
桜「さて諸君!中間考査が終わり、残雪もすっかり消え良い天気に恵まれましたので、本日は校内のゴミ拾いです。」
担任の桜木先生の言葉に、生徒達からはやる気のない返事が返る。
無理もない、この学校は外周20Kmもあるのだ。普通の高校なら考えられない。はず…。
『あーぁ、八軒が居なきゃ私が学年一位だったのに。』
中間考査の成績は、頭一つ出て八軒が学年一位だった。
正直、私が学年一位かもと思っていたのに二位だったので、その事をブツブツ言いながらゴミ拾いをしていると、ゼーハーヒーハー息を切らしながら八軒がやって来た。
八「悪、かった、な!」
『…え?何背負ってんの?』
八「カーネ●拾った。」
『なんでわざわざ…』
誰が捨てたのか、そしてなぜ八軒はそれをみつけたのか、思わず右手で額を押さえた。
桜「よーしこれで全部だなー?A班は分別しといてくれ。」
常「へーい。」
常盤のやる気のない返事で分別作業開始。
常「あーハラ減ったー。早くジンギスカン食いてー。」
八「燃えるゴミってこの山?」
常「カー●ルどうするよ?」
駒「燃やしてみて燃え残ったら燃えないゴミだろ。」
常「そうか!!」
八「「そうか」じゃねぇ!!」
『常盤の頭がある意味うらやましいよ…』
常「そうか?」
能天気に常盤がそう言った時、突然燃えるゴミの山が崩れ落ちてきた。
八軒が棒でぐりぐりやっていたのが、崩れるきっかけになったらしい。
駒「あぶねー!」
常「●ーネルの呪いだ!!」
そんな●ーネルの呪いで崩れたゴミの山の中から、石窯が顔を出した。
…
八「…あった!これだ!石窯…」
『ほんとだー。』
寮のパソコンで昼間見つけた石窯を検索していた八軒をみつけ、イスを引っ張ってきて隣に座り画面を覗き込んだ。
『へぇー…パン、お肉、ピザ…』
「「「「「ピ、ピザ?!?!」」」」
「『…え?』」
背後からのなんとも言えない空気に、私と八軒は同時に振り返っていた。
「それは聞き捨てならねぇ!!」
「作れんの?」
「食いてぇ!!」
八「ピザなんて…宅配でいつでも食えるだろ?」
八軒の一言に、みんな雷にでも打たれたような顔をした。
「うち、宅配圏外!!」
「うちもうちも!!」
「うちなんて携帯電波も届かねーし!!」
「うち、夕刊が翌日の昼に来る!!」
「八軒ちすげー!!」
八「(あああああ…デリバリー格差!!!)」
『ピザかぁ…最後に食べたの何年前だろ?』
八「こころまで…」
別「あーー、ちゃんとしたピザ食いてーーーっ。」
八「石窯があるなら作れるんじゃないか?」
こいつはまた余計なこと言って…
別「よし、八軒に任せた!ピザ作ってくれ!」
八「えええ!?」
それみろ。簡単なんて言うから。
西「こころも手伝ってやれよ。」
『やだ。』
八「即答?!!」
『面倒ごとに巻き込まれるなんてごめんだから。』
西「そんじゃこころのピザはなしだな。」
『は?…なんで西川が決めるの。』
西「そんな事言っていいのか?」
『…っ―』
弱みを握る為に理由を聞いたのか…
良い奴なんて思った私が馬鹿だ。
『言いたいなら言えば?』
西川を睨みつけてから、後ろにひねっていた体を前に戻した瞬間、頭に体重がかかった。
どうやら手で押さえられているらしい。
西「孤立すんなよ。」
頭を押さえた本人が私の隣でそう呟くと、体重はかからなくなり、西川も離れて行った。
西「八軒、こころも手伝うってさ。」
八「本当か?!助かる!」
…納得いかない。