TOA
□それはまるで
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ここはタタル渓谷。
空気がとても綺麗で自然豊かで景色も最高なマルクトの領土。
やっちまったよ、今日が原作とやらが始まる日だったとは。ルークがヴァン師匠に頼んで俺も一緒に剣術を習っていたお陰で、なんとか擬似超振動に自然な形で巻き込まれる事はできた(と思う)が、まだ時間はあるとか言って今後の事なんて全く考えていなかった。
ライガクイーンはまだしもタルタロスに乗っているマルクト兵、アクゼリュスに住んでいる何の罪も無い人々。
具体的な日数はわからないがもう少しくらい考える時間はあるだろう。
ただし、問題はそこじゃない。俺には超振動が使えなければユリアの譜歌も使えない。誰かの記憶にある“ユメショウセツ”のような展開にすることはほぼ不可能だ。
「う…っ、ここは…?」
海を眺めながらぼんやりと考えていると、背後から女性の声と動く気配…例のメロンさんが目を覚ましたようだ。
「おはようございまーす、気分はどうですかー?」
「…!、貴方は兄さんと一緒に居た…」
「あー、俺はルーク様専属の護衛をさせて頂いているアイジスです。よろしく」
敬語は苦手だから使わなくていいかな?と訊くと、戸惑いながらも彼女は頷いてくれた。まあ侵入者で主人を危険に巻き込んだ相手に対して全く警戒せずに「よろしく」等と言う護衛なんて普通居ないだろうから戸惑うのも無理はない。
俺だって本当は宜しくしたくないがこれから行動を共にする仲間だと解っているからなるべく嫌な空気にしたくないのだ。
「私はティア。ティア・グランツよ」
「うい、じゃあティアちゃんと呼ばせていただきますあ」
「……呼び捨てで良いわ」
ちゃん付けされるのに馴れていないのか微妙な顔をされた。
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