四十八歳で掘られました

□爽やかな二回り下の男は変態だった。
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―マンション・金字・二十六0号室


自宅に帰る道で固まったままの深李は逃げるという思考すら彼の言葉により奪われてしまった。だからか、部屋に着いた頃は一瞬だけ記憶が曖昧だった。
どうやって帰って来たのかも解らず、目の前には爽やかな微笑みを溢す彼が当たり前に寛いでいる。
一番知られたくない人物に住んでいる場所を知られてしまった事に脱力感を覚えた。


「清潔感溢れる部屋ですね」


「…そりゃ、どうも」


『帰れ』と追い返す力すら奪われた深李は淡白に応える。
そもそも、彼が自宅近くのコンビニにいなければ態々…知られる必要もなかった。否、元から持っている不幸体質が招いてしまった結果なのだろうか。
彼と出会す事は体質が呼び寄せた“不幸”。それなら辻褄が合うというものだ。
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