小噺(婆娑羅)
□信じてる。
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嗚呼、貴方は私を愛していますか――…?
否、愛してなどいないでしょう。
だから私が愛してあげましょう。
深く深く。
信じてる、信じてる、貴方は誰も信じていない。
きっと私だって、誰だって、本当は誰も信じていない。
だって人は人を信じない生き物だから。
でも、私は貴方を信じてる。貴方は私を信じてる。
だって、いつか私を殺してくれるでしょう?私が貴方を裏切ったときには。
それは凄い事だと貴方は知っているだろうか。
誰よりも裏切りを憎み、裏切りを恐れていて、でも、裏切った人を許してしまう。
それが、貴方の本当の姿。
でも私には違うはず。
誰よりも早く私を殺してくれるでしょう?
だって、貴方は私を傷つけるのが上手いから。
どこまでも、どこまでも、
傷つけて、傷つけて。
どこまでも、どこまでも、
深く、深く、深く。
だから私は信じているのです。
貴方はどこまでも酷いお方ですから。
私をきっと、殺してくれると信じてる。
殺して欲しい訳ではないのだけれど。
私は貴方を信じてる。
だから、貴方を愛してあげましょう。
永遠に…。