novel
□anytime?
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寒いのはきっと貴方がいないせいだ…
「チャンミン!」
まだ覚醒しない頭をもたげてチラリと声の方を見やる。
僕が寝ているのが気がつかないのだろうか。
いいや、眠ろう。昨夜は寒くて眠れなかったのだ。
「チャンミンてば!ジェジュン先輩が呼んでる!」
よく目を凝らすと、クラスメイト越しに華奢なシルエットが見えた。
…それを早く言えよ。
僕は貴方が気づくよう、少し伸びをして身を起こす。
制服の上着を羽織り、ネイビーのニットの袖を引っ張った。
僕は彼等の前まで来ると、大事な役目を終えたクラスメイトに軽く礼を言ってご退出願った。
「…どうしたんですか?」
寝癖を掻きながら聞くと、それを不機嫌の合図ととったのか彼は少し肩を震わせた。
「どうしたんですか?」
僕はわざと目線を少し下げてなるべく柔らかくもう一度聞いた。
「…ごめんね、寝てたの起こして、ジャージ…借りたくて。…俺忘れちゃって。」
何で学年も違う僕にいってくるのかと思ったけれど、そういえば今日は学年全体での体力測定があるとか言ってたな…。
「良いですけど、5限までには返してくださいね。」
「ありがと!お昼休みに持ってくる!」
そう言うと彼は笑顔でパタパタと去っていった。他に世間話とかないのかよと思ったけれど、僕のジャージを大事にそうに抱えていたからよしとしよう。
ジャケット着る必要なかったな…。
僕はジャケットを椅子にかけもう一度目をつぶる。次は数学の授業。
寝てても何も言われないだろう。
あぁ、空が青い。