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□No.08
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「ねぇ、湊」
「何?」
「湊は、何で俺とするの?」
「何で……」
俺は考えたことがなかった。
何故?
「俺が好きだから?気持ちいいから?体が満たされるから?」
「わからない……」
「別にいいよ俺は。ただ先に言っとく。俺、誰にも執着しないから」
「執着しない?」
「俺にとって、恋愛はゲームみたいだし。セックスもただ性欲を吐き出すだけのモノだからね」
「なんか……淋しいな」
どんな恋愛観を持とうがいいけど、恋愛はゲームって淋しいよ。
瑠衣、お前……。
本当に、好きな奴ができてもそう思えるのか?
「そうかもね……」
この日、俺は瑠衣に抱かれながら考えていた。
俺が瑠衣とする理由。
瑠衣とキスするだけで反応する理由。
けれど、答えはでなかった。
「湊!最中に考えごと?」
「え?」
「そんなことするんだね?」
瑠衣は、俺が止める間もなく、 いきなり突っ込んで来た。
「い゛っ」
「俺を怒らせる湊が悪いんだからっ」
いやいやっ
考えごとしてたのは、悪いけど、だからっていきな
り突っ込むなよー!!
「湊。ごめん……切れてる」
何ぃー!?
切れてるって、まるで他人ごとみたいに言うなよ。
このあと俺は病院にお世話になったのは言うまでもない。
「湊ーおっす!」
「お、おう」
次の日。
痛む尻を我慢し、学校へ向かう。
そして、教室で友人・順平が話しかけてくる。
「湊。お前なんか変だぞ?」
「変か?」
「なんかフラフラして。尻がどうかし……まさかっ!」
順平は何か思いついたらしく叫びながら言ってくる。
「お前、火山に掘られたのか!?」
「はぁ!?」
掘られたって何でわかるんだよ!!
そんなことより、ごまかさなきゃ。
「俺とアイツはふりなの!」
「だってよ?」
「だってよも何も俺と湊はふりだよ。何言ってるのさ」
瑠衣は友人にあきれながら言ってきた。