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□No.15
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「じゃあ、湊の就職を祝って、乾杯ー」



俺が如月グループに就職が決まって、瑠衣が俺の就職祝いしてくれるって言ってきた。



「そういや、湊の給料与えすぎじゃない?」
「あぁ。あれ?つまりはそれだけ働けってこと」
「?どういう意味だよ」
「課長には伝えてるけど、給料と見合わない仕事したら減給するから」
「マジかよ……」
「普通に働けば大丈夫だって」
「でもさ、いくらまで下げさせるの?」
「うちの新卒者の初任給までは」
「晶のとこって初任給でも30万はもらえるよね」



給料高いのには、それなりに理由があったのか。



「なぁ、碓氷とは手を切った方が……」
「それならもう手はうってるから大丈夫だ」



そして……。



「じゃあ湊。晶を寝かせてくるね」
「あぁ……」



晶はあれから寝ちゃった。
退院したばかりで、疲れたんだろう。



でも、なんて言うか……。



「どうしたの?」
「ん?あぁ。なんか瑠衣てさ」
「うん」
「母親みたいだよな」
「湊まで!」
「え?」
「昔晶にも言われたー『瑠衣さんは母さ
んみたいだな』って」


うわぁー、それは。



「俺は晶のお母さんになりたかったんじゃなかったからショックだったよ」
「でも晶は何で母親みたいって」
「えっとね、晶が中学の時は、ご飯作って、洗濯して……あとは数学教えてた」
「……瑠衣」
「ん?」
「そりゃあ、晶に母親みたいって言われるよ」
「いいじゃない。あの時の晶には晶の面倒見る人がいなかったんだから」
「そういや、晶の親はいなかったんだっけ」



俺たちはそんな話しをしながら一晩中飲んでいた。

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