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□※No.02
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「ねぇ、矢嶋ー」



俺の名前を呼ぶこいつは、火山瑠衣。
俺と同じクラスの人間で、火山財閥の御曹子だ。
んで、去年から、生徒会副会長をしている。
俺はクラス委員をしていて、よく話しをする。



「ん?火山?」
「委員会のことで、ちょっと……」
「なんかあった?」
「実はね……」



俺は火山と話すのが楽しかった。
俺は地味だけど話すのは好きだから、友達もそれなりにいた。



「はぁ……」
「どうしたの、火山」
「ん?あぁ。矢嶋か」
「矢嶋かじゃなくて。なんか疲れてるぞ?」
「今、つき合ってる奴が、毎日のように迫ってきてさ……」
「へぇーずいぶんと積極的な彼女じゃん」
「あ、知らないのか。俺さ、異性の子をそういう風に見れないんだ」
「ん?どういうこと?」
「俺の恋人ってさ、男なんだ」



火山に告白されたこの事実に俺は驚いていた。



「でもさ、男同士で……」
「できるんだよ?」



火山は男同士でのセックスの仕方を教えてきた。
それを聞かされた俺はしばらくぼーぜんとしていた。



「なぁ、火山。何で……」

何でそんなこと話すんだ?
もし俺が、偏見持つ人間だったらどうするんだよ?



「矢嶋!俺の恋人のふりしてくれっ」



マジかよ……。
恋人のふりって。



「キスもセックスもしない。今まで通りでいいから」
「火山。しつこいのか?」
「相手は体育会系だしね」
「俺も知ってる?」
「うちの中学で知らない人はいない。相手は、生徒会長だから」
「あの人、男が好きなのか?」
「さぁ、ただやれれば男女関係ないんじゃないのか?」
「ふーん。いいよ、火山。お前に付き合うよ」
「サンキュー湊」
「え……」
「恋人になるんだから名前で呼ばなきゃ変だろう?」
「そういうもんか?まぁいいや。んじゃあ瑠衣でいいのか?」
「じゃあ明日さっそく付き合って欲しいことあるからよろしくな」



火山……、いや、瑠衣は言いたいことを言うと教室から出て行く。

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