証
□奇
1ページ/3ページ
水の音で目が覚めた。
目をゆっくり開ける。
そこには自分が心から望んだ空が多くの木々の隙間から顔をのぞかせていた。
「なんて綺麗なの…………」
これが私が心から望んでいたもの。
ようやく手に入った。
私の視界が歪み、それが収まることはない。
よく考えると私はこれまで全然泣いていなかったと思う。
例え、どんなにあの人たちが怖くても。
あの一人ぼっちの空間の寂しさがあっても。
あの人たちから酷いことを言われても。
痛くて苦しい事をされ続けても。
私の涙は枯れてしまった様に出なかった。
多分私はあの人たちから…………
自分の一切の感情や表情を奪われてしまったのかもしれない。
けれど、それは今となっては私にはどうでも良かった。
この願いが叶った今となっては。
「もういいよね………………」
私の願いは叶った。
だから、このまま…………
あの場所に
もう二度とあの痛くて、怖くて、悲しい暗闇の部屋に……………
あの人たちの元に戻らなくてもいいようにしよう。
こんな事、私の手で永遠に終わりにしてしまおう。