小説
□おぼえていますか
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「今日は特に無いし、たまには髪をおろすか。」
『おぼえていますか』
今日は軍議などこれといったことはなく、ただあるのはいつもの執務だけ。そのせいかいつも2つに結んでいる荀攸は、長い髪をおろしていた。
「公達、おはようございます。」
この声の持ち主は王佐の才と言われる荀イク。荀攸の叔父だ。
「叔父上、おはようございます。」
「今日は髪をおろしているんですね。特に何もないからですか?」
「えぇ、そをなところです。」
荀攸と荀イクは長い付き合いのため、荀イクは荀攸が髪をおろしている姿は珍しくなかった。
「さっさと執務室に行って、仕事を終わらせてしまいましょうか。」
執務室に行く途中、殿や夏侯兄弟、張遼、曹仁そして荀攸があまり会いたくない郭嘉に会った。
「荀攸、荀イクおはようございます。」
「おはようございます。朝早くに貴方に会うなんて珍しいこともあるんですね。」
「どうせまた女遊びでもしてたんでしょう。今日はちゃんと仕事をしてくださいよ。」
内心あまり会いたくない人物に会い、なんだか不機嫌になってしまう。
「はいはい、ちゃんとやりますよ。あれ、今日は荀攸髪おろしてるんですね。」
「別にいいでしょう。」
「そっちの方が可愛いですね。」
「え…そ、そうか。」
自分は男で、しかも言われたのは郭嘉。なのになんだか嬉しかった。
ピピピピ…ピピピピ…
「朝か…。なんだか懐かしい夢だったな。」