伸ばした手の先。

□DISTANCE
2ページ/6ページ


抱き締める腕に力を込める。
抗議が向けられた青年から答えなど返る筈はなく。青年はその事実に下唇を噛む。


「起きろよ…てめぇ、何人の許可なく死んでやがる。」


悲痛な望みは塵となって虚空に消える。


「畜生…ッ」



















彼。神田ユウは青年ラビの腕の温もりが好きだった。
けれど、神田はお世辞にも素直とは言えず、いつもいつもラビを突っ撥ねる。吐かれる言葉はいつも鋭く、普通ならば傷つくがラビは違った。

神田が何を言おうと、それが照れ隠しだと知っていたからだ。


「離せッ馬鹿兎!!!」

「嫌さ!久しぶりに会ったんに離すなんて出来んさ!!寂しかったんさ!


ユウも寂しかったさろ?」

「はッ、んな馬鹿な事あってたまるか。」

「ユウは素直じゃないさ〜」


口では何と言いつつも、抱き締められている身体にもう抵抗は見られない。

その内二人で戯れながらどちらともなく笑う。









.

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ