伸ばした手の先。
□DISTANCE
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抱き締める腕に力を込める。
抗議が向けられた青年から答えなど返る筈はなく。青年はその事実に下唇を噛む。
「起きろよ…てめぇ、何人の許可なく死んでやがる。」
悲痛な望みは塵となって虚空に消える。
「畜生…ッ」
彼。神田ユウは青年ラビの腕の温もりが好きだった。
けれど、神田はお世辞にも素直とは言えず、いつもいつもラビを突っ撥ねる。吐かれる言葉はいつも鋭く、普通ならば傷つくがラビは違った。
神田が何を言おうと、それが照れ隠しだと知っていたからだ。
「離せッ馬鹿兎!!!」
「嫌さ!久しぶりに会ったんに離すなんて出来んさ!!寂しかったんさ!
ユウも寂しかったさろ?」
「はッ、んな馬鹿な事あってたまるか。」
「ユウは素直じゃないさ〜」
口では何と言いつつも、抱き締められている身体にもう抵抗は見られない。
その内二人で戯れながらどちらともなく笑う。
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