伸ばした手の先。
□ピースサインの誕生日。
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何があった?
何があった何があった何があった何があった何があった。
何が、あった?
-ピースサインの誕生日-
『生』か『死』かと問われれば『死』を選ぶ俺だ。
毎日毎日。学校に通い帰って予習復習。夕飯を食べて風呂に入って、テレビを見て就寝。同じ事の繰り返し。
小さい頃何回と見たアニメ映画のように正直、飽きていた。
「ふぅ…」
死にたい。
溜め息を吐いて青く晴れ渡った空を見上げる。天気予報では朝から晩まで雨だと言っていたのに。
いい加減なものだ。
「お前。また死にたいとか考えてただろ。」
青い空が隠されて見知った顔。
この不機嫌そうな顔にももう飽きてしまった。
あー…煩わしい。
「思ってねぇよ。」
「嘘だな。その顔で溜め息を吐く時は絶対死にたいなんて馬鹿な事考えてる時だ。」
「…。」
賭けてもいい。
聞き慣れた声は更にそう続けて、俺は反論も出来ない。
言い切ったそいつ-雅紀-は顔を俺の上から退けたので、俺は身体を起こして前髪を掻き上げた。
「お前はさー、人生に悲観的なんだよ。夢を持て。夢を。」
何度となく聞いた台詞を毎回の如くまた呟きながら俺の隣りに腰を下ろす。
「おい。誰が座っていいっつった。」
「細かい事気にするなって。」
今度は向こうが溜め息を吐いた。俺の肩を叩くというおまけ付きで。
「うぜぇ。」
「友達にウザいとか言うなよ!」
「誰が友達だ。だ れ が。」
わざとらしく一字一字区切って言ってやりながら、俺は腰を上げた。背伸びをして屋上から校舎内へ入る。
「おい、どうしたんだよ。」
「帰る。」
「そっか。じゃあ、俺もいっ「来るな。」
皆まで言わせずに遮った。
それに対してまたもや不満が聞こえるが、相手にせず階段に足を踏み入れる。
「まぁ、いいや。
とにかくお前は死なない事!」
「…何でお前の言う事聞かなきゃなんねぇんだよ。
俺が生きてたら見返りでもあんのか。」
「は?そんなのじゃねぇよ。」
振り返って問えば、きょとん、という効果音がぴったりの顔が俺を迎えた。
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