伸ばした手の先。

□An offering.
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「全く。本当に貴方は馬鹿ですね。」


血に濡れた団服。血に濡れた腕。
彼が綺麗だと褒めてくれた白い髪は、今や彼の身体から吹き出した紅い液体で真っ赤に染まっていた。



洗ったら落ちるだろうか。



ぼんやりそんな事を考えながら紅い髪を赤い手でかき上げる。
手についた紅を見て、これを落としたら完璧に彼との繋がりが無くなるんだという考えが漠然と過ぎった。


「呆れて、溜め息しか出ませんよ。」


言葉の後に短い嘆息を一つ。
やれやれと、肩を回した。

















世界の終焉。


それを望み遂行するノア。
それを拒み阻止するエクソシスト。




対立の関係に立っていた僕らは結ばれる筈がなく、お互いに気持ちに気付かないようにと目を逸らした。

けれど彼を見る度に胸は高鳴り。目を逸らし続ける何て出来る筈が無くて。














「ティキッ」

「アレン?」


貴方が、偶然を装って僕の任務地に訪れていた事知ってますよ。

わざとらしく僕が気付くようにうろついて、全く貴方もまだまだ子供ですよね。


「久し振りですね。
こんな町に、何か用事ですか?」

「うん?ああ…えーと、ロードに買い物頼まれてさ。」

「ロード…


ああ、あの女の子ですね。
それで?何を頼まれたんです?」

「えーと…そうだ!チョコレート。お菓子とかさ。」

「この町にお菓子屋さんはありませんよ?」

「あー…間違えた。ノート買って来「ノートは、この前僕と会った時に買ってませんでしたか?」


見るからに焦り、汗を流しながら次の言葉を模索している。
必死に弁解する余裕ない貴方が見たくて、僕は貴方の逃げ道を一つ一つゆっくりと閉ざして行く。


「ティキ。」

「…どうした?少年。」









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