☆薄桜鬼☆
□幻想
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「あっ、それは…」
「はっ?お前に拒否権はねぇよ。」
そういうと彼は私の懐に手をいれてくる。
「…くっ。」
背後からなのに慣れた手つきで私の着物を脱がしていく。
首筋を噛みつくように口づけをしてくる彼に抵抗してみようとするも男の力には敵わない。
「お前を買ったんだから楽しませてもらうぜ。」
その言葉で私は抵抗するのをやめた。
“彼も他の人と変わらない”
私はそのまま彼に抱かれた。
情事が終わったあと、彼は青い長い髪を結び直す。
私はただぼーっとその姿を見ていた。
ここは遊郭。
宴を楽しむだけの客もいれば彼のように女を買う客もいる。
今までお酌の相手をしているだけだった匡様に心惹かれていた私は買われるのは本望だったはず。
しかし、実際は虚しさ以外になにも残らなかった。
私には恋をする資格も夢をみる資格もないのに。
おかしくなってふふっと笑ってしまう。
「何を笑っているんだ?」
身なりを整えた彼は眉間にシワを寄せて私に問う。
「いえ、なんでもありません。」
ふーんと納得していない顔をした着物を整え立ち上がる。
「また来る。」
「はい、お待ちしております。」
ここにきたときから私は何も望んではいけないのだ。
そう言い聞かせて部屋に戻った。