‡戦争ノ火ノ粉‡

□砂ノ魔女、現代ノ魔女
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「うっ…ん」
俺は目を覚ました。
何回目だろう。気を失うのは。
そんなことを考えていた。
「こんな広い場所に魔女は、魔女だけ住んでいたのね…。」
リルクは、辺りを見回した。
小屋はあるけど、他はあたり一面砂漠、砂漠、砂漠。
魔女は一人で寂しくなかったのだろうか。

誰もいない。
砂漠の砂が舞い上がるなか、俺は目を疑った。
一人もいない。
ツウと涙が頬に伝う。
「レイグ?どうしたの?」
「みんな…いなくなっちゃう…。助けて…怖い…怖いよぉ…。」
「レイグ?レイグ!?ねぇ、落ち着いて!今は一人じゃないんだから!」
「リルクだっていつかはいなくなっちゃう!一人ぼっちになっちゃう!」
「レイグ。聞きなさい。」
リルクは厳しい声で言った。


「確かに私は、いつかはいなくなる。だから私は貴方といるのよ。」
「えっ…?」
「私は一人暮らしなんかじゃない。家出よ。あんな家族、こりごりよ。」
「リルクにはっ!リルクには家族の暖かみを感じないのかよ?!」
「感じないわ。いや、感じることができなかったのよ。私、オカルト好きって言ったよね。けど、家族はオカルトは大嫌いだったのよ。貴方のため、貴方のため。そんなの奇麗事だ。本当はどうなってもいいのに。だから、私は霊感が強いレイグについていくの。誰が何を言おうと私は振り向きもしないわ。」
俺はリルクの言った言葉が信じられなかった。
リルクがそんな思いを持っていたんだと俺は今確信した。
それから、何故か俺はオカルト恐怖症になった。―――――


「話が長引いてしまったな。」
「お前っ、砂魔女に会ったのか!?」
「ああ、それがどうかしたのか?」
「アンタさ、砂魔女に会いたいとか思ったことあるか?」
リーラは聞いた。
レイグは何も言わずに、こくこくうなずいた。
リーラは口を開いた。
「砂魔女は…」





「憂(うい)に殺された…。」
リーラは言いにくそうに言った。
レイグは目を見張った。
「殺…された…!?」
「魔女は育て上げた子供に殺される、あるいは誰かに殺されると世代交代するという掟があるんだ。とことん残酷だ。」
リーラはあくびを耐えながら言った。
とても衝撃だった。
あの善良な魔女が憂に殺されたなんて、ありえない。

「砂魔女といえばアルのときも、砂魔女いたな…。」
「あれは、双子だよ。お二人さん。」
聞き覚えがあるずうずしい声。
振り向けばニヤリと笑っている魔女、憂がいる。
「こんな時間帯にも、来んのかよ。気まぐれめ。」
「ミマイルは?ちょっと忠告したいことがあるんだが。」
「誰がお前なんかに教えるか!ディサードを殺した悪人魔女め!」
レイグが言うと憂の左手がピクッと動いた。

「てめぇ、私をお前呼ばわりすんじゃねぇよ。言っとくが、私は魔女だぞ?本気を出せばお前を一発で殺せるからな。確かにディサードを殺したのは、この私だ。だからどうした。」
「なぜ殺した…!」
レイグは凶悪な魔女に怒りをあらわにして睨みつけた。
憂はふいとそっぽを向き、ミマイルのいる方向へ歩いていった。
「ミマイル…起きろ。」
憂は僕を起こそうとして僕を揺さぶっていた。
「魔女…!?」
僕は目を覚まし目を見開いた。
憂は目をうっすらとして、
「いい気になるなよ?かまいたち出来ただけでは私の足元にも及ばぬ。ただ、それを言いにきただけだ。私はお前が来るまで待ってるからな。」
と囁いた。
僕は恐怖におののき、気が遠くなった。

朝になった。朝になっても、なぜか冷えている。
息をフッと吐くと、白い息が空に消えていく。
「…これって…」
「怪奇現象だよ。」
ルルマは驚き、リルクは答える。
レイグはバタッと倒れ、フェールは呆れ、リーラは凍死寸前だった。
「季節変化。私は、こう呼んでるわ。急に夏から冬。春から秋。秋から夏に変わることよ。これをするのは魔女とかしかいないのよ。魔女なら魔法使えばちょちょいのちょいだからね。」
「リルク、リーラが凍え死にそうだよ。ていうか腹へった。」
「リルク、レイグが倒れたよ。何食べる?フェール。」
僕達はリルクの「ちょちょいのちょい」に突っ込みたくなったが、突っ込まなかった。
なぜなら、本当に「ちょちょいのちょい」だから。
僕は季節変化の変わり目を見たことがない。
その前に見ることが出来ない。
いつの間にか変わっていてじょじょに季節の温度が変わる。
こんな違和感の無いように出来るのは魔女や魔女に近い存在だけだから。

「適当に木の実食べよう。採りにいこうか。」
リルクと僕とフェールとルルマは周りにある木から木の実を探索しているとき、僕達に最悪な嵐が通りかかった。

To be continue…
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