‡戦争ノ火ノ粉‡

□カマイタチノ谷
1ページ/3ページ

17

-----------------------
《トレーニングだよ。》
ウォーティの水晶球から映像が出てきた。
「トレーニング?なんのために?」
僕は聞いたら、ウォーティは呆れた。
「そりゃ、魔女を倒すためにだろ。」
リーラがウォーティの代わりに答えた。

《そうそう。で、なんでラゾ滝なのかというと、ラゾ滝には滝壺があるんだよ。それで、滝壺を奥深く探索すると秘宝があるはずなんだけど、まだ見つけたポケモンは一匹もいないの。別名、封鎖の滝壺。そう呼ばれている。》
「どうやって滝壺に潜るの?」
僕は聞いた。
するとウォーティの代わりにライカが、こう答えた。
「そりゃ、水を割るしかないだろ。」


滝の水は激しく降り注ぐ。
これを割るなんて出来るのであろうか。
《水を割るのもトレーニングの一つ。我は、なにもせぬから頑張って。》
水を割らなければ魔女には勝てないという意味なのか。
水を割るのは何の意味があるのか。
謎だ。
「…さて…どうやって…割る…?」
「うぅーん…。」
僕は悩んだ。
僕は水を割ることなんてやったことがない。
「そういえば、幽霊は強制でゴーストタイプ入るんだぜ。となると、俺はでんき・ゴースト。ロトムだな。で、ミマイルは…。」
「僕はノーマルタイプだよ?」
僕はイーブイと似ていてタイプも一緒だ。
「そうか。ゴーストタイプはシャドーボールとかそういうので割れるんじゃないのか?飛行タイプなら、エアスラッシュとかもいいな。」

「かまいたちが一番いいが、オレは覚えないもんなぁ…。」
ライカはジトリと僕を見た。
「ミマイル。お前はイーブイでもない新種のポケモンだ。もしかすると、かまいたち覚えられる可能性アリだぞ。」
リーラも僕を見た。
そろそろ夜空に星が輝く時だ。
「ねぇ、眠くないの?」
空気を変えて、僕は皆を見回して聞いた。
リーラはきょとんとしながら、こう答えた。
「何言ってんだ?俺らは夕方に寝ちまっただろ?」
ライカは、まばたきをゆっくりしていて眠そうだった。
ルルマは…、相変わらずだ。


一方、レイグ達は。

「あちゃー。いきなり難関かよ。水を割るなんて俺でも出来ないし。」
レイグ達はミマイル達を見守っていた。
「オイラ、何でも覚えるけど、技マシンが無いよ。」
フェールは、リルクかレイグがフェールに回す前に速答した。

「かまいたちねぇ…。かまいたち…ぐう…。」
眠気がリルクを襲い、深い眠りに落ちた。
「かまいたちと言えば誰だ?」
レイグはフェールに指をさした。
「振らないでよ!…アブソルだよ。」

「結局答えるんかい。」
レイグは呆気にとられた。
リルクは目を覚まし、はっとした。
「そういえば、昔、かまいたちで私達を助けたポケモンを見たこと覚えてる?―――――」


それは私達が死ぬ前だ。
私達がまだ小さい頃だ。

「リルクー!遊ぼー!」
フェールの声で目が覚めた。
私は布団から起き上がり木製のドアを開けた。
「リルク、おはよ!」
レイグが笑う。
私も
「おはよ。」
と笑う。
だけど、ミマイルはいなかった。
ミマイルは、まだいないからだ。
「ねぇ、リルク。カマイタチの谷って知ってる?」
レイグは物知りだった。
レイグの両親は旅人だったからだ。
レイグの両親は、この世界を隅々まで探索した。
だけど、ラゾ滝と山里は知らなかった。
ラゾ滝は封鎖の滝だったし、山里は一度来ると、あるいは大人になると来れない。

「カマイタチの谷って…あそこはガレキとか崖がいっぱいあって岩なだれもあるのに?」
フェールは心配になった。
フェールは一度聞いた言葉から情報収集してくる、アルセウスのひい孫特有の能力があった。
リルクは普通のチラチーノだ。
なんの取り柄もない。
「リルク、大丈夫。君にも特有の能力がきっとあるよ。じゃ、賛成の人。」
フェールとリルクは手を挙げた。
レイグはうなずいた。
「うん。その心意気認めるよ!」

カマイタチの谷の道のりは険しく遠かった。
リルク達は今、カマイタチの谷を通る山の天辺にいた。
「疲れたよぅ。」
リルクは弱音を吐いた。
レイグは、
「ちょっと休憩しようか。」
とリュックサックからレジャーシートを広げた。
もう真っ暗だ。
けど空には満天の星がちりばめられていた。
「綺麗だね、フェール。」
「そうだね。レイグ。」
リルクは空を見張った。
「あ、流れ星!」
「嘘!どこどこ?」
「もう消えちゃったよ、フェール。」
フェールは残念がった。

「そうだ。私の願い事、何にしたと思う?」
リルクは得意げに言った。
フェールは、
「ずっと皆と一緒にいられますように。でしょ?」
と答えた。
リルクはうなずいた。
「俺は、てっきり特有の能力が欲しいのかと。」
レイグは笑いながら言った。


そして二日目。
朝の日差しで目が覚めた。
「リルク、おはよ。」
フェールは早起きだった。
レイグは気持ち良さそうに寝ている。
「レイグ、起きて。朝だよ!」
リルクが起こそうとしても起きる気配は無かった。
「あ、そうだ。レイグ!UFOが飛んでる!」
「ぎゃあああああ!」
レイグはオカルトが嫌いだった。
リルクは、それを使って起こした。

「さぁ、活動開始だ!」
レイグが一声上げると、
「オー!」
と二匹は叫んだ。
カマイタチの谷は小さな山を二つ超えた所にあった。
ただそれだけでは無かった。
カマイタチの谷には強いポケモンが住んでいて、通り掛かったポケモンを襲う。
レイグの両親は運が良かったから、強いポケモンには遭遇しなかった。

カマイタチの谷に着いた。
「よし!気を引き締めて行くよ!」
レイグは忍び足でカマイタチの谷に行った。
続けてリルクとフェールもレイグの跡を追った。

To be continue…
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ