‡戦争ノ火ノ粉‡

□山里ヘノ道ノリ
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「リルク…。」
誰かが呼んだ。
「ねえ、ミマは…、ミマは私達のことを…忘れちゃったのかな…?」
リルクと呼ばれしポケモンは首を傾げた。
続けて、
「私、あの時にミマの気持ちに気づいていれば、良かったのに…。そうでしょ?レイグ。」
とレイグと呼ばれしポケモンの方を向いた。
「なんであんなことしちゃったんだ…。な、フェール。」
レイグは俯きながら、そう言った。
「どうしてオイラはあの時、ミマの左前足を…。」
フェールと呼ばれしポケモンは深く反省しているようだ。

「レイグは肺と心臓。」
「リルクは右耳。」
「フェールは左前足。」
「…じゃ、しっぽや左目や罰点傷は…?」
レイグは考え込んだ。
リルクは、
「恐らく左目は父にでしょう。」
と言った。
フェールは疑問に思い、
「どうしてだ?」
と聞いた。
「左目は食べられた。と考えるしかない。食べるとしたら、なんか歌に出てくるじゃない、目玉を鳥に食べられた。って、聞いたことない?鳥といえばミマの父ウォーグルしか居ないじゃない。」
「つまり目を切ることは出来ないから、目を潰して食べたってことか、美味しくなさそうだな。」
フェールはブーイングした。ブーブー!
「どうでもいいよ。」
レイグはフェールの親指をグリッと上に向けた。
リルクはレイグとフェールの漫才に呆れていた。

リルクは♀のチラチーノで左目の上に切り傷があって、右目の上には髪飾り、星型のブローチをつけている。一人称は私で二人称はあだ名。

レイグは♂のエーフィでぐうぜん進化してエーフィになってしまった可愛そうなポケモン。本当はグレイシアになりたかったらしい。目の下には、くまができていて、両耳に紐がついていて先端に三角の飾りがついている。一人称は俺、二人称はお前。

フェールはミュウで神と呼ばれしポケモンのアルセウスのひい孫。バチュルくらい小さくて、瞬発力がハンパないけど食いしん坊。一人称はオイラで二人称は呼び捨て。


どのポケモンもミマイルの友人。
あの日がくるまで、一緒に遊んでいたんだ。
「ミマ…。立てなくしてごめんなさい…。」
「ミマイル…。聞こえなくしてごめん…。」
「ミマイル…。殺してごめんな…。」
三匹は謝りながら涙を流して、ミマイルとリーラを見守った。
「俺達で何か出来ることを探して詫びしよう。」
レイグは涙を拭い、振り返り歩きはじめた。
「「そうだね。」」
リルクとフェールは、口を揃えてレイグの跡を追った。

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「リーラ…もしかすると僕は二番目の友達…?」
「俺は友達なんていらない。一人だっていい。」
僕はここでの友達が欲しかったが、リーラは僕のことを友達ではないみたいだ。
「どこに行けばリーラの唯一の友達に会えるの?」
「…。神社にいる。」
神社…?
と、なると神様?
周りは山、山、山。
僕たちは下界に来ているようだ。皆からは見えないみたいだ。

「まず山里に行くぞ。山里の人は霊感が強く、俺達もみえるはずだ。」
リーラは山のトンネルをくぐろうとしていたが、僕の心がドクンとした。
前に来たことがあるような気がして感じる。
このトンネルをくぐったら、不思議な世界だった気がする。

怖い。

僕の足がガクガクと震えた。
ゆっくりと山のトンネルに、足を踏み入れたその瞬間、

バチィ!
電流がはしった。
「!!、ミマイル!俺の手につかまれ!」
リーラが僕に手を伸ばした。
けど、僕は怯え動けなかった。金縛りにあったかのように。
「ちっ!くっそぉぉぉぉぉ!」
リーラは強引に僕の両前足を引っ張り、トンネルに入った。


「はぁ…はぁ…。」
僕は息遣いが荒くなり、火照た。
「おい、ミマイル。あんた、山里に前にも来たことあるだろ。」
リーラは僕のたてがみをわしづかみした。
「なんで分かるの…?」
「生きているうちに一度来たんだな。山里は生きているうちに行くと、一生これない。けど死んでしまうと、何度でも来れる。生き一度、死に一度来るとあの時のように電流がはしる。山里のポケモン達は霊感が強いから分かるんだよ。」
リーラは暗く長いトンネルを歩きながら言った。
リーラの声が響き渡った。

「俺はお前があの世に来るまでに一度来たのは当たり前。だって神社は山里を通らなければ行けないから。」
リーラは僕より早く歩いている。
「ちょ、早く行かないでよ「俺はあんたを、おんぶ出来ないから。」
リーラは振り向いてくれたが、すぐプイッと歩いてしまった。

僕は黙った。
するとリーラが、
「山里に来たときの話、してくれないか。」
と立ち止まった。
「え、いいけど…。」
僕は驚き半分に話しはじめた。


To be continue…
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