BL
□だって16歳
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「俺が女だったらよかったのになぁ…」
「は?」
久しぶりに黄瀬とストバスをやって接戦の末打ち負かした後、寄ったマジバで黄瀬がそう呟いた。
その目線は恐らく大学生であろう仲睦まじいカップルに向いていた。
「なんでだよ?」
当然、俺も聞き返す。訳が分からない。
「だって俺が女だった方が絶対青峰っちにとって得じゃないッスか?」
「意味わかんねーよ。」
「女だったら、青峰っちの大好きな胸もあるし、モデルの彼女がいるなら自慢できるじゃないッスか。それに、女だったら16歳で結婚できるじゃないッスか。」
「アホか。」
黄瀬の額を指で弾く。いわゆるデコピンだ。
当然黄瀬は痛いッスーだのヒドいッスーだのと喚く。煩い。
「胸はあるに越したこたぁねーよ。けど、モデルだろうがなんだろうが自慢はする気ねーし、俺が18歳になんねーと結婚できねぇだろうが。」
「あ、そうッスね。」
黄瀬は心底驚いたかのように目を丸くしている。
「それに俺はバスケしているお前が大好きだし。お前がバスケ部に入んなきゃきっと会えなかった。」
あーでもヤッてる時も同じくらい好き、って言ってやったら、黄瀬は茹で蛸みたいに真っ赤になった。
「青峰っちここマジバッスよ…」
「知るかよバカ。」
俺は人目が気になるタイプじゃないが、黄瀬は違う。今日だって実はメガネと帽子で変装している。
そんな黄瀬からしたら、マジバで男(190越え)に愛を吐露され真っ赤になったことも羞恥なのだろうか。
だったら…
「じゃあ家ならいいんだな?」
ニヤリと笑う。
黄瀬は恥ずかしそうにこう言った。
「………いいッスよ。」
と。
二人の座るテーブルの後ろの席では、水色の髪の少年が「微笑ましいですがムカつきますね。」なんて言っていたことは二人は知らない。
だって16歳
(色々考えちゃう年頃なんです。)