BL

□身長差。
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身体検査。
それは俺の嫌いな行事の一つである。
俺は、クラスでこそ前から七番目ぐらいだが、バスケ部一軍の中じゃ一番小さい。そして、俺の恋人は…
うぅ…悲しいから止めよう。真ちゃんとの身長差考えたら悲しすぎるし…
さすがに学校全体では身体検査など年に三回ほどだが、バスケ部では月に一回あるのだ。なんでも、バスケにおいて重要視されるものの一つはサイズであり、個人の能力に大きく関わってくるからだと。まあ鷹の目が能力の一つだしあんま身長関係ないんだけど。

「うげっ…」
178p。
I.Hのときからほとんど伸びてない。
この背だとあの誠凛にいる真ちゃんの同中とあんま変わんないんじゃねーのか…
(後に聞いたら俺より10p低いらしい。)
「真ちゃーん、どーだった?」
「変わってないのだよ。196p。」
「俺伸びてねーんだけど。」
「ふっ…」
真ちゃんはラッキーアイテムであろう造花をポケットに入れつつ笑った。
「てめっ」
くそ。やっぱ高ェや。
196−178=18。
18pの身長差。
バスケの実力はともかく、この差は詰まりそうにないや。

練習後。
珍しくも家の都合で宮地先輩が、法事で木村先輩が帰ったので、体育館で居残りしているのは俺と真ちゃんだけになった。
「…」
黙々と超高弾道3Pを打ち続ける真ちゃん。
「ほいよ。62弾目。」
そしてその真ちゃんにひたすらパスを出し続ける俺。
そして150弾目に行くか行かないかという頃、真ちゃんが爪を磨くというので休憩になった。勿論、真ちゃんの爪磨き発言には懲りずに突っ込んだけど。
そして爪のかかり具合を見るために真ちゃんが眼鏡を外した。
なにこの子すげー美人。いや分かってたことだけど!
「なぁ真ちゃん。」
「なんだ。」
「お前、顔きれいだよな。なんつーか、美人?」
「うるさい黙れ」
ほっぺた赤くしながらそう言われましても。
「真ちゃん、ちゅーしたい。」
「は!?だ、だめなのだよ!」
「照れんなって…よっと」
立ち上がった真ちゃんの顔をめがけて背伸びした。
が。
「真ちゃんかがんで。」
「いやなのだよ。」
あと一歩届かない。
18pの差、大きい。
てか真ちゃん、上の方向いてたらますます届かないって。
ここでどうしても真ちゃんが欲しい俺は少し卑怯な手を使うことにした。
「ねー…真ちゃん、俺のこと嫌い?」
「…っ」
少し顎を引いた。それで十分届きそうだ。
そこを見計らって唇を重ね合わせる。
ほんの一瞬。
柔らかな、甘美な時が流れる。
愛のある接吻。
そして唇が離れる。
「高尾…!」
すげー真っ赤な顔をした真ちゃんがいた。
「てへ。で、さっきの質問の答えは?」
今ならデレてくれそうな気がした。


身長差。
嫌いじゃ…ない。なんてかわいい声がして、もう一回だけキスしてしまった。

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