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□迷世界12
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今日のBARは静かだ。

いつもは騒がしい八田達の溜まり組はゲーセンの新しい台がでたらしく「初日制覇!!」と意気込んでは開店前から出かけている。

十束さんもその様子をビデオに撮るらしく、共に出かけている。


開店前のBARに当然客が入ってくるわけもなく、先程まで草薙さんと雑談をしていたのだが開店準備のため、少しこの場を離れている


話し相手の居なくなったカウンターは静寂に包まれる

やや冬の寒気さを感じながらも、席にぐたーと座り込み何をするわけでもなく草薙さんから貰ったホットミルクを飲む。


「(暇だな)」

店番を頼まれた訳でもないので、2階へ昼寝をしに立った時




カランカラン


ドアに取り付けたベルがなり悠希の歩みを引き止めた

吠舞羅のメンバーが帰ってきたのか?と、入ってきた人物を確認すると入口に立っていた人物は吠舞羅のメンバーではなく、ましてや知り合いでもない。


20代前半の若い綺麗な女性だった


「あら?ここのマスターは?」


その人は1度店内を見回すと、凛とした声で話しかけてきた。

『...え、あぁ。草薙さんならもうすぐくると思いますよ。なんなら呼んできましょうか?』


最近は男だらけの吠舞羅に慣れたのか、こういった大人の女性の落ち着いた雰囲気に少し戸惑い、反応が遅れてしまった。


聞いて見たものの、一向に返事を返してもらえないまま、相手と視線を交わす。


淡「ま、いいわ。待たさしてもらうわ。私は淡島世理よ。」


名乗られた。と言うことは完璧に待つ間話し相手になれ、と言うことになるのか。立ち去るタイミングを失った。


ツカツカとヒールの音を鳴らし、今まで座っていた##NAME##の隣の席へと座った


『...暁月悠希です。』


立ち上がったばかりだったがもう一度その席に腰を下ろす。
隣に座る淡島さんは先程と同じ様にジッと此方を見ている。
少々...いや、かなり気まずい。
目を合わせるか合わせまいか、何か話題はないのか...。


ん?...よく見ればこの人の着ている服。青を基調としたコスプレの様な型。自分の知っているのに比べ、随分きっちりと着こなされたそれは、間違いない。

何時ぞやの、理由も分からず喧嘩をふっかけてきた伏見のものと同じだ。


と、言うことはこの人は青のクランか。しかし何故、敵対するクラン同士の立場で1人で本拠地にきているのだ?



淡「あなたは吠舞羅の新入りかしら?...また随分と可愛らしい子が入ったのね。」


『え?あ、どうも。』



とりあえず、聞いてみるのが無難だな。



『あの、その服は伏見って人と同じものですよね?...青のクランの人が吠舞羅の本拠地にきても大丈夫なんでしょうか?』


淡「伏見君を知ってるのね。あの子も困った子よ...」



話を聞いていくと、どうやら伏見は結構な厄介者らしく、淡島さんも手を焼いている様だ。
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