book

□迷世界7
1ページ/5ページ

腕を引かれる感覚が消えると路地の壁へ突き放された


ドサッ

一人の男が前に出てもたれ掛かっている悠希の横の壁を蹴る様に足を置く

「お前、さっき吠舞羅のヤタガラスといたな?」



【吠舞羅】

聞いた事のある言葉だ

随分最近の様に感じるがいつ聞いたのか明確に思い出せない

黙々と思考を巡らせていると急に下腹部に激痛が走った

ミシッ

嫌な音が聞こえた

『...!?ゲホッ、ゴホ』

「すつとぼけてんじゃねーよ!!!!」

『...ケホッ』

思い出した。確か前も同じ様な時
に【吠舞羅】と言う単語を耳にした

『(どんだけ恨み買ってんだよ「吠舞羅」って奴等)』


おそらく、骨が何本か折れていて外傷も痣ができているだろう場所に手を伸ばす


半信半疑で触れて見たそこは、もはや見慣れた光を出していた

パァ...

『(治ったかな?)』

一瞬にして痛みが引いていく。腹部から視線を上げ前を見据えると驚きや確信を得た表情を浮かべていた

「赤の光、やっぱりお前吠舞羅のメンバーか!!」

叫ぶ様に言い放った男が殴りかかってきた

痛みを予想して目をつむる


ガッ

人が殴られる音が聞こえた
しかし自分に痛みはこなかった

目を開くと暗い筈の路地か一変して赤い炎が広がっていた
やがて一瞬にしにして消えた不思議な炎
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ