BL短編

□口に苦し
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※性的描写有、R-16
※口内射精セトカノ
※初っぱなからやってる











「……っ、ご、ごめっ、んっ……!」


射精、してしまった。…セトの口の中で。
謝罪の言葉の間にも精液の放出は続き、銜えられたままのセトの口内に伝う。
ざあっと血の気が引いた。快楽の余韻に浸る余裕もない。
射精して冷静になった頭は、とてつもない後悔と罪悪感を訴える。

「せ、セトっ」

今すぐ吐け、と言おうとしてティッシュを探しに視線を移した瞬間。
ごくり、と何かを嚥下する音が聞こえた。
……恐る恐る、振り返る。

「あー、喉に引っ掛かるっすね…」

苦かったのか眉間にしわを寄せているが、何度かに分けて飲みこんでいるようで、突き出た喉仏が上下している。

「な、ぁっ…の、飲んだの!?」

何考えてんだバカ!と思わず怒鳴ると、セトは「そこまで言うことないじゃないっすか」と唇を尖らせている。

「え、だって…嘘でしょ、…ええー……」「……カノー」
「なに、……っ!?」

頭を抱えて唸っていたカノに、セトが手を伸ばす。
引き寄せて顔を近付け、唇を奪うと、カノの目が驚愕に見開いた。
ぬるりと白濁が残る舌で口内の粘膜を舐めあげると、カノの顔が明らかに歪む。

嫌がらせのような深いキスに、カノはセトの胸をかなり本気で叩いた。
せっかくのキスも、味がこれではまったく楽しめない。

「……っはぁ!…し、信じらんない、有り得ないっ…!ばかじゃないのっ…!?」
「えー、ダメっすか?」
「自分のとかマジ無理……うーえぇ…まっずぅ…」

……何が楽しくて自分の精液を味わわなきゃいけないんだ。セトのならともかく。
あまりの苦味に舌をべろりと出し、吐き気を抑えこんで、カノは涙目でセトを睨む。
勿論、潤んだ瞳で上目遣いに睨んでもひたすら可愛いだけなのだが。


「……カノ、」
「…なに、セト」


真剣な表情に見つめられ、胸が高鳴る。
カノにはセトのような能力はないけれど、それでもセトの言いたいことは伝わった。

……ほんっと、仕方ないな。

セトがカノに対してそうであるように、カノもセトにはつくづく甘い。
ひとつ溜め息を吐き、顔を近付けて唇を重ねる。
舌を絡ませると、精液の味はかなり薄れてきていて、カノはこっそり安堵した。



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