BL短編

□君と同じ思考を赦す
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「っは、ぁう、やだぁっ」

つんと存在を主張する胸の飾りは、まるで性器のように快感を伝えてくる。
執拗になぶられるそこがどうしようもなく気持ちよくて、他のことを考える余裕もないほど夢中になってしまう。

「カノ、何が嫌なんすか?」

セトのその言葉に、顔がかっと熱くなる。
赤い瞳は、カノの思考を絶えず読み続けている。意識するたびに恥ずかしさで気を失いそうだ。

それでもぼんやりと、そんな気恥ずかしい問いにも無意識下の思考は答えを返してしまう。
普段のカノなら決して口に出さないような言葉も、能力を使われている今であれば読み取られてしまう訳で。

――嫌だ。気持ちいい。こんなところで感じてる姿なんて、見られたくない。

「…ああ、そういう意味だったんすね…」

心なしか顔を赤くしてぼそりと呟くセトの声に、余計に羞恥が煽られる。

「セト、やっぱりこれやめてっ…!」
「嫌っす」
「そんな…っふぁ、やあんっ」

紅く色づいたそこを口に含まれ、硬口蓋と舌で挟み転がされる。
本来なら快感を得られる筈もない器官で、こんなあられもない声を上げて、下肢にまで達する快感を植えつけられて。
何度も何度も捏ね回されて、他でもない目の前の恋人に変えられてしまった場所。
カノだって男だ、そんな事実を知られるのはひどい屈辱だった。
しかも、勝手に思考を覗き見られるなんて形で知られるなど、もうこれ以上ないような恥辱でしかない。

「あ、もう勃ってるんすか」
「ぅあっ!」

ズボンを引き摺り下ろし、ゆるく起ち上がっていた自身を揉むようにされて、一層高い声が吐きだされた。

――恥ずかしい。乳首を弄られて勃起してるなんて、知られたくなかった。

こんな考えすらもセトに筒抜けなのかと思うと、思考や状況も相俟って涙が出そうになる。
下着越しではあるけれど、性器に初めて与えられた直接的な刺激は、逃れようのない官能を脳髄まで叩きつけてきた。

「カノ、すっごくやらしい」

下着の中心が、力を持った性器によって不自然に持ち上げられている。
快感を与えられ続けたそこはまるで粗相でもしたかのように、下着の薄い生地に染みを作っていた。
指先で戯れるようにつつかれるだけで、染みはその濃さを更に増す。
…恥ずかしすぎて血が沸騰しそうだ。

「カノ、このままパンツの中で出したいっすか?」
「…な訳、ないでしょ…っ」

――直接触ってほしい。舐めて、扱いて、ちゃんとイかせてほしい。

ただ思うだけで口には出さない言葉が、今はしっかりと全て伝わってしまう。
こんなみっともない考えが、全部。

「やっぱり、素直っすね」

セトは意地の悪い笑みをして、そのまま下着を引き下ろした。
下着の締め付けから解放された性器は腹に付きそうなくらい反り返っている。
セトはそれを、躊躇いもせずに口内へ呑み込んだ。

「あぁぁぁっ!」

熱く吸い付くような口腔と滑り舐め回す舌に、性器が歓喜して反応を返す。
腰はすっかり砕けて、ろくに抵抗するフリもできやしない。
神経が焼き切れそうな快感に襲われて、射精感はあっと言う間に高まっていく。

「あっ、や、やああっ!」

――きもちいい、そこ、いい、もっと。

脳裏で自分がどれ程淫らな言葉を思い浮かべているか、欠片ばかりに残った理性が警鐘を鳴らすが、強烈な快楽の前に全てが融けてしまう。

不意に舌で尿道口をぐりぐりと弄られ、その瞬間に許容量を越えた快感が全身を走った。
何を告げる余裕もなく、腰の奥で何かが痙攣し、震える性器が脈動しながら白濁を放った。



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