黄瀬×テツナ(高校時代)

□最強キラー
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どうしてこんな状況になったのか。
火神には分からなかった。


最強キラー


いつも通りの部活の帰り道。黒子と並んで帰っていたら黒子に会いに来たという黄瀬に会って。
あまりにも自然についてくるから、疑問を投げ掛ける暇すらなかった。
3人でファーストフードに入ってなんだか普通に談笑して、黒子がトイレに席を立っても黄瀬は黒子を見送った笑顔のまま、火神に話しかける。
今さら「なにお前」とか言ったら間違いなく「お前がなに」になるだろう。
「…なに?」
ついまじまじと見すぎて、黄瀬が首を傾げる。
「いや…えらい普通に馴染んでんなーと思って」
はじめの頃の敵意剥き出しだった姿が嘘のようだ。
今の黄瀬はまるで昔からの友人かのように全面的に好意だけを向ける。
「火神っちは黒子っちの友達だから」
「だから?」
「きっと俺とも仲良くなれるっスよ」
「なんで?」
頬杖をついた黄瀬は、それはそれは綺麗に笑ってみせた。
「俺と黒子っちの男の好みは同じだから」
ぶはっと飲み物を吹き出しそうになる火神を気にも留めず、黄瀬は続ける。
「いや、なんかこの言い方はちょっと違うか。…好みのタイプが一緒だから?」
「同じことじゃねぇか!」
思わず全力で突っ込みを入れた火神に、横から静かな助けが入った。
「なに火神くん口説いてるんですか」
「黒子っち」
おかえりー、となつく忠犬を一撫でして、黒子は彼をたしなめる。
「あまり火神くんをからかっちゃ駄目です。彼は青峰くんほど耐性がないんですから」
「…はーい」
素直に頷く黄瀬を見て、火神はその笑顔にほだされそうになった気持ちをきつく引き締めた。


「じゃあまたね。黒子っち、火神っち」
ファーストフードを出れば火神たちと黄瀬の帰る方向は逆になる。手を振ってあっさり去っていく背中を見ながら、火神は心からの感想を漏らした。
「お前の彼氏、色んな意味でヤベーな…」
同じ方向を見ていた黒子がぽつりと返す。
「…あげませんよ」
「いらねぇよ!」
薄く笑う黒子を見て。
おそらくこの妙なカップルに中学時代散々絡まれてきたのであろう青峰に、火神は少しだけ親近感を覚えた。


fin 2012/11/12

青峰にはストレートな愛を。
火神には変化球な愛を。
黒子には持てる限り全ての愛を。

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