■青峰×テツナ

□目隠し
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身代わりで十分だと思った。
それで黒子が少しでも救われるのなら。
「なぁ、テツ…」
青峰は部室のベンチに押し倒した黒子を見下ろした。
「どうされたい?」
曲げた指で頬をなぞる。
黒子はためらいがちに青峰の背中に手を回した。
「キス…してください」
望まれるままに唇を重ねる。歯列を割れば抵抗なく口が開く。舌を絡め、上顎を舐めて、口を離す。
「…それから?」
至近距離で問うと、背中の手に力が篭った。
「…酷く、してください。なにも考えられなくなるくらい」
予想外の返答に戸惑う。恋人同士のような甘いものを求められると思っていた。
黒子の意図は分からないけれど、青峰は逆らわなかった。
「…分かった」
胸元までシャツをたくし上げる。曝された肌に噛みつく。黒子の肌は白く、柔らかく、少し力を入れれば簡単に噛みき千切れそうだった。
「…っぁ…」
乱暴に胸を揉み、足を開かせる。
痛みに啼くだけの黒子が濡れるはずもないから、口に指を押し込む。
「んっ…ぐ…」
狭い口内を武骨な指が蹂躙する。
黒子の目に涙が滲んだ。
糸を引くほど唾液を絡ませた指を黒子の中に入れる。
「っつ…あ、あぁ!」
口以上に狭いそこは必死に青峰を拒む。黒子に掴まれた腕には爪が食い込む。
それでもなお、黒子は暴力を甘受しようとする。痛みと不快以外に黒子が得るものなど何もないというのに。
―――馬鹿だな。
苦い笑みは黒子と、自分自身に向けられた。
黒子が望むならそれで良い。
身代わりで良い。それ以上なんて求めない。
青峰は黒子に欲望を突き立てた。
「っああぁ―――!!」
泣き叫ぶ声など聞こえないふりで、黒子を傷付けるだけの行為に没頭する。
「んっ…んん…っ!」
黒子が押さえた手で悲鳴を殺す。
青峰はきつく閉じられた黒子の目を手で覆った。
「…あ…みねく…?」
黒子の手が確かめるように青峰の手に触れる。
辛い現実なんて、見なければ良い。逃げたいなら、利用すれば良い。
「呼べよ」
声も想いも耐える必要なんかない。
「黄瀬の名前を、呼べ」
ビクリと黒子の体が震える。
青峰は黒子の口元から手を剥がし、奥を突いた。
「ああっ…!」
黒子の体が痙攣する。消すことのできない嗚咽が絶えず漏れる。
「ひっ…ぁ…せ…く…」
やがて涙に一つの名前が混じる。
「き…せく…黄瀬くん…!」
黒子の目元を押さえた手が熱い。泣きながら何度も何度も、黒子は黄瀬を呼ぶ。
溢れ出た想いは同じくらい、黒子と青峰を傷付けた。
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