フェアゲーム

□黒子の答え
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「っん…」
黄瀬が中から出ていく刺激にさえ、体は反応する。二人の言う通りどうかしてしまったらしいこの体は、まだ全然足りないと訴える。
ねだるように青峰を見上げると、彼は口角を上げた。
「上になるか」
意味が分からず動けないでいると、脇に手を入れられ青峰の上に抱き上げられる。
「自分で動けるだろ?」
笑う青峰を今度は上から見下ろす。
羞恥はある。けれど今は、飢えの方が大きかった。黒子は屹立を手で支えると、一気に体を沈めた。
「っあぁん!」
自重で深くまで欲望を呑み込む。奥にまで感じる熱に動けずにいると、後ろから伸びた手が胸を包み込んだ。
「やっ…あ、黄瀬く…っ」
背後の黄瀬はブラの上から胸に触れ、首筋に口付ける。器用な指先は服の上からでも的確に先端を撫で、疼くような快感は直接腰に落ちた。
「ん…、は、ぁっあ…ん」
青峰の腹に手を付いて、たどたどしく腰を浮かす。刺激としては物足りないけれど、自分で悦いところを探り当てられる分、快楽は拾いやすい。
奥まで埋め込んで息を吐き、黒子は黄瀬に手を伸ばした。
引き寄せて唇を重ねていると、不意に青峰に腰を掴まれる。
「っん、ああぁ!」
下からの乱暴な突き上げに耐えきれず、黄瀬にしがみつく。
背中を支えてくれた手は服の中に入り込み、ホックを外す。ブラをたくしあげるように、直に胸を揉まれる。
「や、っあ、だめっ…も、だめぇ…!」
激しく中を掻き回されたまま、胸の尖りを弄くられる。黒子は背を反らして、限界に震えた。
「…あっ」
まだ達していない青峰が体を起こし、黒子をうつ伏せに返す。後ろから体を重ねるのに、黒子は甘く声を上げる。
まだ、足りない。もっと欲しい。
もっと、二人で満たして欲しい。


やりすぎたと反省していないわけではない。だが今回に関しては、やりすぎの原因の大半は黒子にあると思う。
背中の愛しい重みを感じながら、青峰はすっかり暗くなってしまった道をゆっくりと歩いた。
「黒子っち、どうしちゃったんスかね?」
傍らには3人分の荷物を持った黄瀬がいる。
青峰の背にいる失神した黒子と荷物とで負荷を分散した結果、こういう形になった。
「三人ですんのが久しぶりだからじゃねーの?」
「ふーん」
街灯に照らされた黄瀬の横顔は、穏やかだった。
黒子が聞いていない今、青峰はずっと気になっていたことを口に出した。
「…お前は、この関係に不満はねぇの?」
黄瀬はこちらを向いて足を止める。青峰も倣って立ち止まり、二人は向かい合った。
「んー…」
黄瀬は口を結んで考え込むが、ふっと力を抜くと笑ってみせた。
「俺、青峰っちのことも大好きなんスよ」
青峰は僅かに目を瞠る。黄瀬は明るい声で、続けた。
「だから、三人でいられるのなら、それが一番嬉しいっス」
「…気持ち悪ぃ」
「えー」
今度は青峰が口元を綻ばせる番だった。
「どこまで俺と同じ気持ちなんだよ」
「ええー?」
黄瀬は笑ってまた歩き出す。青峰も黒子を背負い直して後に続くと、斜め前方の黄瀬が顔だけ振り返った。
「もしかして、俺らも両想い?」
「両想い言うな」
静かな夜道に二人分の笑い声が響く。
妙な関係だとは思う。けれど、不満はない。三人でいられることは幸せだ。


この試合の結果が出るのは、まだまだ当分先のことになりそうだ。


fin 2013/9/16
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