フェアゲーム

□朝から元気
1ページ/2ページ

ふっと目が覚める。
部屋はまだ薄暗い。起きるには随分早いようだ。
横を向いた青峰は頬を緩ませた。触れ合う距離に、寝息を立てる黒子がいる。穏やかに結ばれた目は開く気配もない。
そっと頬に手を伸ばす。黒子の頬は白く、柔らかい。頬以外も全部、柔らかい。
薄く開かれた口にキスしようとした時、黒子の向こう側から声がかかった。
「なにしてんスか」
黒子越しに黄瀬が冷たい視線を寄越す。
昨夜も青峰と黒子は黄瀬の家に泊まった。寝るときはいつもこうして、黒子を真ん中に挟むようにしている。
「寝込みを襲うとか、サイテー」
「今さら紳士振るつもりかよ」
「俺は青峰っちみたいなケダモノじゃないっス」
黄瀬はそっぽを向くと、朝食でも作るのかベッドを下りようとする。
青峰は黒子のパジャマに手をかけた。
「…黄瀬」
呼ぶと黄瀬は振り返って、固まった。
黒子にかかっていた布団は腹まで下げられ、パジャマの前は全開になっていた。もちろん、青峰が脱がしたのだが。
黒子は寝るときに下着をつけないから、その控え目な膨らみどころか淡く色付いた先までが目の前に晒された。
「…っ」
がくり、と黄瀬はベッドに伏せた。暗がりでも分かるくらい、耳が赤い。
「…ケダモノでいいっス」
黄瀬はあっさり降伏した。


「…ぅ、ん…」
無視できない違和感に、一気に目が覚める。
「あ…」
ぱちぱちと瞬くと、覚醒に気付いた黄瀬が微笑んだ。
「おはよ、黒子っち」
「おー、やっと起きたか」
黄瀬の向こうで青峰が笑う。二人とも笑顔は爽やかそのものなのに、やっていることには爽やかさの欠片もなかった。
「なにして…んっ…!」
寝るまではちゃんと着ていたはずのパジャマは無残に乱されていた。上は羽織っているだけになっているし、下は下着ごと膝まで下げられている。
ここまでされて起きない自分もどうかと思うが、寝ている人にここまで出来る彼らもどうかと思う。
「や…っこれから、部活でしょう…!」
今日は休日だが、強豪校のバスケ部はその限りではない。
こんなことしている暇はないはずだ。
「…今何時?」
「6時過ぎっス」
「部活何時からだっけ?」
「あー……」
「…9時から、です…!」
いい加減なエースたちに、マネージャー心からつい口を挟む。
「9時ならぎりぎりなんとかなるだろ」
青峰がとんでもないことをさらっと言う。
「黄瀬、どうする?」
「先いいっスよ。俺もうちょい黒子っちに触ってたいんで」
二人だけで話は進む。そこに黒子の意思はなかった。
「や…あぁんっ!」
起きてからまだ数分しか経っていないのに、黒子の体は青峰を受け入れる。寝ている間に何をされていたのかを考えると、恥ずかしくて仕方なかった。
「は、あっ、ん…あぁっ!」
時間に余裕がないからなのか、青峰の動きは始めから容赦ない。
喉を反らして喘ぐ黒子の首に、黄瀬がちゅ、と口付けた。
「ん…っ」
激しい青峰の攻め立てに対し、黄瀬の愛撫は優しい。触れるか触れないかという力加減で胸の先を擽られる。首筋をなぞった舌先は上へと向かい、耳を食んだ。
「あ、ぁんっ!」
不意にきゅっと指で先端を挟まれれば堪らなくなる。
顔を上げてキスねだれば、黄瀬はすぐに応えてくれた。
「んっ、ん、ぅんん!」
青峰が追い上げにかかったのが分かった。腰を掴まれ激しく突き上げられる。
上がるはずの嬌声は、黄瀬の口内に消えた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ